過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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202:名無しNIPPER
2015/07/15(水) 20:08:21.76 ID:pgaibwKn0
乙
続き楽しみ
203:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 11:55:54.07 ID:zVr0z0Ijo
生徒会メンバーでの食事を終えて家に帰ると、もう割と遅い時間になっていた。
夜空は冷たく澄みわたり、突き刺すような乾いた空気は本格的な冬の到来を俺に告げている。
204:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 11:57:10.90 ID:zVr0z0Ijo
こうして小町からおかえりと言われるだけなのに、なんという安心感。
やはり違和感なくそこにいられて心の安らぐ場所でなければ、自分の居場所とは呼べないのではないだろうか。
205:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 11:59:01.97 ID:zVr0z0Ijo
八幡殺すにゃ刃物はいらぬ、小町の冷遇あればいい。いや刃物でも余裕で死ぬけど、ほんと死ぬほど気まずかった。家は俺の安息の地じゃなくなったのかと思った。
だから由比ヶ浜と雪ノ下と、生徒会選挙の話をつけたその日の夜に、額を床に擦り付けても構わないぐらいの気持ちで小町に謝ることにした。
実際にそんなことはしていないけど、そのぐらいの気持ちで。
206:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:00:10.23 ID:zVr0z0Ijo
全ての出来事は俺の目を通した上での印象しか語れないのだが、小町はそれでも由比ヶ浜や雪ノ下のことを慮って気持ちを読み取ろうとしていたようだ。
修学旅行に関してはやはり俺が悪いと。そして最初に俺が考えた一色の依頼の解決方法もまちがっていたと。
だが、雪ノ下と由比ヶ浜の決意を受けてから俺のとった行動はまちがっていたとも正しかったとも言われず、小町は少しだけ寂しそうに呟いた。
207:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:02:53.30 ID:zVr0z0Ijo
俺は返事ができなかった。そもそもの発端は俺が認めたくないという、ただの子供の我儘のような思いだったから。
あいつらのことを考えたかと言われると、考えていなかったわけではないが、どこまで考えていたのか今となってはあまり定かではない。
それに、この選択はまちがっていないかと何度も内に問い掛けた結果ではあったが、まちがっていないというだけで正しいとは自信を持って思えなかったから。
208:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:04:10.91 ID:zVr0z0Ijo
「あれ、お兄ちゃん何その指。怪我したの?」
おおう、さすがにめざといですな小町さん。というか、俺もこんなものいつまでつけっぱなしにしてるんだ。大した怪我でもねぇのに。
「あ、これか……。いや、ほんと大したことないんだけどな。ちょっと火傷した」
209:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:06:50.23 ID:zVr0z0Ijo
「なんなの、今日はお母さんキャラなの?つーかただの事故だ事故。変なことはなんもねぇよ」
「なんだ。失礼なこととか卑猥なことして報復されたのかと思っちゃった」
やっぱりか。なんだ卑猥なことって。そんなことしたら軽度の火傷ぐらいじゃすまねぇよ。
210:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:08:15.79 ID:zVr0z0Ijo
「ん、んん?それ包帯じゃないじゃん。ハンカチ?」
「そうだな」
「……誰の」
211:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:11:09.89 ID:zVr0z0Ijo
「まぁ、ボチボチはやってる。まだ生徒会としては何もしてないから部活と変わらんな」
「そっかー、ちゃんと部活動もやれてるんだね。まあお兄ちゃんたちが楽しそうなら小町はそれでいいや。…………このままいけばそのうち進展もありそうだしっ」
ぽしょっと付け足すように呟いた最後のほうの言葉は聞こえなかった。耳に入ってはいたが意識が聴覚に向かっておらず、ちゃんと言葉として認識できなかった。
212:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/18(土) 12:13:27.93 ID:zVr0z0Ijo
「じゃあこれ洗っとくね」
「おう、頼む」
機械的な返答をしてから風呂に向かい湯船につかって考えてはみたが、結局自分でもその理由はよくわからなかった。
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