過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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369:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:06:25.94 ID:RYx/9kaJo
「だ、誰のことだよ」
「生徒会の子たちも当然そうだし、前葉山くん紹介してくれた先輩の人とか。全員だよ、ほんと」
あー、陽乃さんか……。内面は知らんが外面は確かにキレイだな、うん。生徒会も雪ノ下に由比ヶ浜に一色に葉山か……。
370:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:07:18.22 ID:RYx/9kaJo
「あー、いや。ちょっと気になることがあってさ、聞きたかったんだけど」
そこで話を区切って折本は紅茶を啜った。俺は誰もいない公園を見るともなく見ながら続きを待つ。
「比企谷、どの子と付き合ってんの?」
371:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:08:11.67 ID:RYx/9kaJo
「会議の前にコンビニ行ってたじゃん?あの部屋の窓から戻ってくるのが見えたんだけど、なんか袋の奪い合いみたいなのしてたっしょ?あれ」
なんか意外なところを意外に見られてるもんだな……。行動として思い当たることはあるが内情は全然違う。面倒だけど訂正しておこう。
「あれのどこを見たらそう見えるんだよ。全然ちげぇ」
372:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:09:06.57 ID:RYx/9kaJo
だからこんな捻くれた人間になってんだろうが、と言いたかったが自重した。自重ってやっぱ大事。
「へー。そうなんだ。意外」
折本はきょとんとしているのか興味があまりないのか、いまいち判然とし辛い表情で呟いた。
373:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:09:54.25 ID:RYx/9kaJo
「……なんで?」
わからなすぎて間抜けなことこの上ない言葉しか出てこなかった。だが、今俺が知りたいことを端的に表しているとも言える。
なぜ、なんで、どうして。いつも俺が考えていることだ。
374:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:10:31.74 ID:RYx/9kaJo
「そうか、いろいろか」
「そうだね、いろいろだよ」
それから二人同じタイミングで紅茶の缶を傾けて飲み干す。すっかり冷えてしまった紅茶を飲んでも体が暖かくはならなかったが、不思議とここに来たときより寒くは感じていなかった。
375:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:11:33.07 ID:RYx/9kaJo
「……なんで好きな奴があの中にいるって思うんだ」
「いるでしょ?そのぐらいはわかるよ。じゃなきゃ比企谷は生徒会なんか入らなそうだし。ねー、誰?」
このまま無視して走り去ろうかとも思ったが、ペダルを漕ぐ力が湧いてこない。
376:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:12:13.14 ID:RYx/9kaJo
折本とのことはこの前終わらせられたと思ったのに、俺は過去のトラウマという自己保身のための予防線をまだ張り続けている。そんなもの、もはやハリボテでしかないのに。
それでも守り続けるその奥にあるものは、自分勝手で我儘で、傲慢で、醜いものだ。人に勝手に理想を求めて、甘えてしまいそうな俺の弱さだ。
「…………本当にいないの?」
377:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:13:01.09 ID:RYx/9kaJo
こんなに臆病なのに、怖がりなのに、孤独を愛していたはずなのに、人との繋がりが欲しくてたまらないんだ、俺は。
あの部屋で見えてしまった気がするから。あの夕焼けの帰り道で見つかった気がするから。だから俺は、今こそ俺は、逸らした目を前に向けなければ。
この感情に名前を付けるぐらいは、今ならできるはずだ。
378:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:14:42.92 ID:RYx/9kaJo
「想像もやめてくれ……。じゃあ帰るわ。またな、折本」
「あははっ、うん、またね。比企谷」
鼓動が速い。顔も体も熱い。だが心は怯え、冷えている。
379:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 23:17:06.73 ID:RYx/9kaJo
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