過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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513:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:23:15.40 ID:bDJjjpJNo
なんとか彼女の力になれないかと思いはしたが、さすがに生徒会長とサッカー部の部長と兼任は難しいと感じていた。
その後、陽乃さんと雪ノ下さんのやり取りがあり、彼女は自分が生徒会長になるから応援演説をしてほしいと頼みを変えてきた。わざわざ頼みたくもないであろう俺に頼むあたり、彼女の本気が伺えた。
陽乃さんの考えと違い、俺にはもう彼女が陽乃さんの影を追っているとは思えなかった。彼女は陽乃さんも持っていないものを求め、前に進もうとしているのだと思った。
514:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:24:29.38 ID:bDJjjpJNo
だから、これが彼女を近くで見られる最後の機会になるかもしれない。
だが応援演説を既に引き受けている手前、それも叶わないことだ。
そう思っていたのに、彼女から比企谷も生徒会に入ると聞いて、そう提案したのが彼自身だと聞いて考えを改めたくなった。
515:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:26:45.87 ID:bDJjjpJNo
そんなことを考えていると、どこから聞いたのか、陽乃さんは雪ノ下さんが生徒会長になろうとしていることを知って、本気ではなさそうに軽く俺に言った。
「ついでに隼人も入れば?生徒会長じゃなきゃ兼任でもなんとかなるでしょ。どうせ雪乃ちゃんじゃ上手くやれないだろうから、フォローしてあげれば?」
陽乃さんは別に俺に何かを期待してそう言ったわけではない。雪ノ下さんの状況を聞くのに、俺が近くに居たほうが都合が良いか、単純にそのほうが面白くなると思っただけだろう。
516:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:27:47.19 ID:bDJjjpJNo
それが葉山隼人らしくない行動であることはわかっていた。
故に、実際に何人かからはなんで生徒会に入ったのかと理由を尋ねられた。そのときは陽乃さんに言われたことを利用して、詳細をぼかして答えることにした。
517:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:28:23.46 ID:bDJjjpJNo
自分でそんな生き方を選んでおきながら、俺は誰かにまちがっていると言ってほしかった。
きっと、そうすることで俺は初めて、あの時から前に進むことができるのだろう。
518:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:29:13.58 ID:bDJjjpJNo
人気のない場所まで行く途中に会話はなかった。俺もだが比企谷も、こいつとは仲良くできないと思っているに違いないから、別にこれで問題はない。
「どうする?」
前振りも何もなしに一言だけを伝える。
519:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:30:28.51 ID:bDJjjpJNo
「誰でもいいんだけどな。俺でも……別にお前でも」
「……ああ。雪ノ下さんには、今は望まないほうがいい」
そう言うと彼は辛そうに俯いた。今の雪ノ下さんを見て、彼は何を思うのだろう。俺と違って、比企谷はあんな姿を見るのは初めてのはずだ。
520:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:31:56.79 ID:bDJjjpJNo
「さぁな。怖いんだろうな、玉縄は。どうせこうするしかなかったんなら、もっと早くにやるべきだったな」
おお、と力のない声が聞こえてから、しばらく間が空いた。
ポケットに両手を突っ込んで下を向いていた比企谷が顔を上げ、口を開く。
521:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:32:47.72 ID:bDJjjpJNo
「そうか。過去なら君よりは知ってるよ」
「だろうな。ムカつく言い方しか出来ねぇのかお前」
「そんなつもりはなかったんだけどな……。今のことなら君のほうが知ってるだろ」
522:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:33:37.28 ID:bDJjjpJNo
「……俺も、変わらないさ」
俺は立ち止まってしまったけれど。
比企谷も彼女も、足掻きながらでも前に進もうとしているんだなと思うと、体の内のどこかに締め付けられるような感覚があった。
523:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:34:30.41 ID:bDJjjpJNo
「うるせぇ。お前何回も会議サボってんだし副会長の仕事しろよ」
痛いところをつかれた。ちゃんとした理由があるとはいえ、何度か会議に出られなかったことは事実だ。
「副会長の仕事か……。そうだな、俺も働かないとな」
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