過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:48:34.28 ID:KG8R2sxio
「違わないよ。あたし、あの部活でなにもできてないもん。だから……」

弱々しく話す由比ヶ浜の目尻には涙が浮かんでいた。

否定しないと。俺の知っている、俺の期待している、俺の居心地のいい奉仕部の光景には由比ヶ浜が必ずいる。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:50:12.12 ID:KG8R2sxio
俺の言葉は、願望はまだ、届いていない。そして由比ヶ浜は理解した上で言っている。生徒会長になれば自分が奉仕部に行けなくなる可能性を。

考えろ。俺が今そこにいる由比ヶ浜に、生徒会長になってほしくない理由を。

「…………俺は今までお前らのことも、自分のこともよく考えずに勝手にやってきたから、また勝手に言わせてもらう。それはやめてくれ由比ヶ浜。お願いだ」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:51:23.62 ID:KG8R2sxio
自分の言葉にハッとなる。

そうだ。俺は彼女たちの犠牲が、悲しむ姿が見たくないのだ。たったそれだけの話なんだ。

きっと由比ヶ浜は選挙に当選すれば立派な生徒会長になる。由比ヶ浜は誰よりも素敵な女の子だ。みんなにも慕われる。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:52:29.32 ID:KG8R2sxio
こんなにも素敵な女の子に、そんな思いをさせることをわかっていてじっとできるほど、俺は無関心じゃないし鈍感でもない。

由比ヶ浜がこう決意せざるを得ないほどに追い込まれているのは俺のせいだ。今回の依頼に対して、俺にできることがあまりにもないのだ。

雪ノ下にも言われたが、応援演説で一色を不信任にすることがどれだけ非現実的なのかは自分でも理解している。
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:53:56.28 ID:KG8R2sxio
雪ノ下が生徒会長になり、生徒会から奉仕部に来れなくなるのであれば。

俺たちもそこに行くことができるなら、それは三人の居場所に成り得るのではないか。

「でも、今回は……なにも失わずに守るのは無理だよ……」
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:55:27.73 ID:KG8R2sxio
「あ、いや、えっと。その……」

自分のことを言われているわけがないのに、こんなときにまでその言葉に反応してしどろもどろになってしまった。慌てて話を続ける。

「好きなのは、その、なんとなくわかってる。けどそれは奉仕部ってわけじゃないだろ。例えば、仮に雪ノ下と俺がいなくてもお前は奉仕部を守るのか」
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:57:26.67 ID:KG8R2sxio
俺はそう望んでいない。由比ヶ浜もそうであってほしい、そうであってくれとささやかな祈りを込めて話す。

「ううん、そんなことない。そんなの、やだし。先のことなんてわかんないけど、卒業してもずっと一緒がいい……」

「それならなおさら、奉仕部にこだわることなんかねぇだろ。守るべきなのはあの場所じゃない、この繋がりだ」
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:58:48.38 ID:KG8R2sxio
「ヒッキー……そんな風に思ってくれてるんだ、嬉しいな……。けど、どうするの?部活とかなんか理由がないとヒッキーは帰っちゃうし、ゆきのんは生徒会にかかりきりになるじゃん……」

「あの部活がなくなったとしても別の形で、同じようにいられる手段ってあるんじゃねぇか。例えば……生徒会とか」

「……えっと、三人で生徒会に入るってこと?」
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:00:47.31 ID:KG8R2sxio
「む、無理じゃないかも……。じゃあ、ゆきのんはもう引き留めないんだね?」

「ああ。雪ノ下が自分で決めたことだから、もうそれは止めない、止めちゃいけない気がする……。だから生徒会長になってもらう」

雪ノ下が生徒会長をやるのを私の意思と言ったことが、やってもいいと言ったことが本音なら。
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:02:02.53 ID:KG8R2sxio
きっと俺のやり方を押し付けたままでは、彼女たちの選択を単純に否定したままでは素通りしていたのではないかという気がした。

「あ、あたしはどうすればいいのかな?副会長、とか?立候補?」

「そうだな。なんかの役職に立候補すればいいんじゃねぇか。副会長か……お前に向いてそうなのは会計かなと思うけど。なんか主婦みたいな謎の会計能力持ってるし……」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:03:28.14 ID:KG8R2sxio
「……俺はなにに立候補しても当選なんかしねぇからな、役付きは無理だ。庶務ってとこだな」

情けない話だが、たぶん信任投票でも不信任になる。あの悪評がどこまで広まっているのか定かではないが、相手がいなくても厳しい戦いになることは間違いない。

やはり今の俺を苦しめるのは過去の俺だ。ならば、未来の俺を苦しめるのは今の俺なんだろう。
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