過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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869:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:24:43.80 ID:kAKMmD4ho
「雪ノ下さん、これ冷蔵庫入れるよね?」
「あ、ええ。比企谷君もこっちに来て」
雪ノ下についてキッチンに行くと、また明らかに一人暮らし用ではない大きさの冷蔵庫が鎮座していた。
870:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:25:30.97 ID:kAKMmD4ho
何をしているのかと思えば、間取りを確認していたようだ。え?来て最初にやることがそれなの?
一色はエレベーターで十五と書かれたボタンを押すときから大袈裟に騒いでいたが、部屋に入ってからのはしゃぎようはそれ以上だ。
「あー、でも一軒家も捨てがたいですね……。どっちがいいですかねー?」
871:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:26:18.60 ID:kAKMmD4ho
「構わないわよ。でも高いから気をつけてねー」
妄想にセルフ突っ込みをしていると、子供に注意を促すような澄んだ声がキッチンから聞こえてきた。
一色はそれを受けて、はーいと間延びした返事するとバルコニーへ足を踏み出す。
872:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:27:16.43 ID:kAKMmD4ho
「昔から家族ぐるみの付き合いがあるから、実家のほうはよく知ってるけどね」
「はー……幼馴染みってやつですよね。ちょっと羨ましいです」
「いろはにはそういう人はいないの?」
873:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:28:30.58 ID:kAKMmD4ho
一色からは、気を使いどこまでが踏み込めるラインか探っているような印象は受けない。
葉山からは、個人に関するあらゆる質問をはぐらかす見えない壁は感じない。
人の心は移ろいやすいと言うが、人の織り成す関係もまたしかり、ということだろうか。
874:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:29:32.35 ID:kAKMmD4ho
雪ノ下は飲み物を置くと、くすくすと笑いながらキッチンに戻っていった。挙動不審な俺を見て呆れたに違いない。恥ずかしい。
置かれた飲み物を飲んでいいのかもわからないので、座ったまま部屋を物色もとい見渡すことにした。
でかいテレビの下にあるデッキに目を向けると、以前見たディスティニィー関連のDVDが変わらずそこにあった。変わらずって思ったけどよく見たら増えているような気もする。
875:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:30:14.57 ID:kAKMmD4ho
「これ、由比ヶ浜が作ったのか?」
「作ったっていうか……あたしは乗っけただけ。さすがにあたしでもこれぐらいできるよ」
「へー……なんか、凄いな」
876:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:31:27.01 ID:kAKMmD4ho
「りょーかい」
由比ヶ浜が笑ってくれたことに安堵して、静かに全員が揃うのを待つことにした。
877:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:32:45.15 ID:kAKMmD4ho
「合同クリスマスイベント、お疲れ様でした。この生徒会になって最初の仕事だったけれど、なんとかうまくいったのはあなたたちの支えがあったからです。同時に私の不甲斐なさ、未熟さも痛感しました」
雪ノ下にしては珍しい、ですます口調の丁寧語。そこに茶々をいれる者はいない。ただ黙って次の言葉を待つ。
「私一人ではできないことばかりでした。至らぬ点も多々あったかと思います。それでも、皆は私を助けてくれました。私はこのイベントを通じて、あなたたちとなら上手くやっていけそうだと、そう感じました。だから、これからも…………よろしく」
878:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:34:14.10 ID:kAKMmD4ho
「かんぱーいっ」
五人のグラスがテーブルの中央に集まり、軽く触れ合う小気味良い音が響いた。
本来の乾杯はグラス同士が触れないようにするものだとか、この場でそんなことはどうでもいいな。そもそも全員ソフトドリンクだしよ。
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