過去ログ - 【艦これ】神通「姉さん、朝ですよ!」川内「嫌だあああ起きたくない!」
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195: ◆tbwnV7sn12[saga]
2015/08/08(土) 23:05:10.47 ID:aDKMddzW0

 皐月は瞳に涙を浮かべながら必死に川内の指示に従う。
 回避行動を取りつつ相手に砲撃の隙を与えない様、主砲を放ち続ける。
 しかし決定打には程遠く、戦艦持ち前の装甲に弾かれてしまっていた。
 その時、先ほどまで吹雪達に指示を飛ばしていた叢雲が川内と皐月の会話に割って入る。

『さっきからガタガタ五月蠅いのよ! さっきまでの威勢はどこに沈めてきたのかしら!?』

「叢雲! そっちは」

『こっちは順調そのものよ! それよりも他を心配してる暇があるならとっととそいつ片付けなさい!』

 そうしたいのは山々だと川内は言い返そうとしたが、止めた。
 今は皐月を冷静にさせて、タ級flagshipに決定打を打ち込む方法を考えるのが優先だった。
 叢雲は皐月に野次を飛ばす。

『皐月! あんたが足引っ張ってどうすんのよ! ご主人守るんじゃなかったの!?』

「言われなくたって分かってるよ!! でも頭の中がぐちゃぐちゃしてわからないんだ!!」

『何が、ッグゥ!! 何が分からないっていうのよ!!』

『叢雲! 大丈夫!』

『平気よ! 吹雪はそこの駆逐邪魔だから片付けて! 皐月! アンタがぐだぐだ悩む事は帰ってからでも出来んのよ! 今出来る事は何!? なんの為にそこの引きこもり引っ張り出してきたのよ!』

「じゃあどうしたら良いのさ! 今すぐにだってあいつをぶっ飛ばしたいよ! 許せないよ! でも川内さんが止めるのに行ける訳ないじゃないか!!」

『ならそこのバカに行かせればいいでしょ!! 簡単な事で駄々捏ねるんじゃないわよ!』

「川内さんに行かせ! ……川内さんに?」

『アンタも聞こえてんでしょ! 何可愛い二番弟子に背負わせて自分楽してんのよ!! 考えてる暇があったら手を動かしなさいよ! 手を!』

 川内は叢雲に激を飛ばされて初めて自分のしている行動を見返す。
 しかしそれは確かに。今自分が考えている事、している行動は自分でも思う程に受け手だった。
 出撃をする際に胸にあった諸突猛進な戦意がいつの間にか消えていた。
 それを表に出した皐月を冷静じゃないと止めてしまった。
 だが、それは本当なら自分が行うべきだった。
 ただ闇雲に突っ込むのではなく、相手の思考の隙を抜けた。そんな奇抜な戦闘を得意としていた筈だ。
 何を日和っているのか。馬鹿馬鹿しい。
 夜をあの日と重ねて、かつての自分を今でさえ引きずっているのは誰でもない。川内自身だ。
 皐月は確かに無謀な突撃をしようとした。でもそれに中身が伴えばそれは川内の持ち味を体現していたではないか。
 提督は皐月を川内の未来像と称した様に、彼女はこの時も川内に道を示してくれていた。
 小さな月明かりに気付くと、迷っていた道の先が微かに見えた気がした。



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