過去ログ - 盗賊「コインの表と裏」
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108: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/23(木) 15:33:52.24 ID:Ut9bCkLSo

神父「……魔王はそう易々と背後を取らせるとは思えません。それに、智将の呪いで殺せるかは分かりません」
「彼自身がそう言い張っていただけでしょう。それに呪いの発動後、使用者を呪う還元作用もございます」
「智将は呪いを自らの力に変える魔物。人間には死の呪いでも、彼には魔力源だったのでしょう……」

盗賊「…………」

神父「加えて、そのダガーは一突すれば壊れしまいます。精製出来たのは智将のみでしょう」
「そして魔王を倒すと言われる聖剣は……。申し訳ありませんが、命を投げ打ってでも魔王を倒す事は難しいかと」

盗賊「………だけど、やらなくちゃならない」

神父「貴方に、勇者様を刺せますか?」
「恐らく、彼は智将の最後の策に掛かってしまったのでしょう。悪の心を、植え付けられた……」

盗賊「ああ。きっと魔王は勇者の身体を乗っ取る事を考えていた。それは魔王の素振りから、間違いない」
「勇者が魔王を上回っているかもしれなかったからだ。だから、智将に命をかけた策を命じた」
「……ふふ、なるほど。見えてきた。俺たちは……掌の上、だったんだな……だが、俺は勇者を……」

――――刺す。

神父「………ならば何も言いますまい。貴方へ神のご加護があらんことを」
「情けないですが、貴方に縋る事しか出来ませぬ。貴方が、人類の最後の希望なのかもしれない……」

盗賊「失敗する確率のほうが、高いんだけどな」

神父「その時は、次世代の勇者様が現れるまで混沌の世が……」
「ですが、不思議と確信しております。神のご支持があったのでしょう……貴方が、何かを起こしてくれる、と」

盗賊「………俺は、信託を受けた勇者じゃない。ケチな、盗賊なんだよ」

盗賊は眉間にシワを寄せて、神父へと苦笑した。
命を投げ打ってでも―――勇者を、魔王を倒して見せようじゃないか。



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