91: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/20(月) 23:10:13.76 ID:IVe03aaio
勇者「それで、話を戻すけど―――何が言いたいかって言うと、ぶっちゃけ言って羨ましかったんだよね」
「正義の為に非道になれる。僕には出来ない。僧侶も、魔法使いも、信頼を置くはずだよね……」
僧侶「やめて、勇者様、やめ……っ!?」
勇者「君もね、本当は盗賊が好きだった。あの日、何で君が盗賊を僕らのパーティに強く推薦したのか、僕が知らないとでも?」
「君は昔、盗賊に助けられているだろう。君も貧民街の出身だものねぇ……最初に好きだったのは、盗賊だ」
盗賊「…………!」
僧侶「………でも、わたしはぁ!」
勇者「そう、今は僕が好きなんだよね。それってでも、同情でしょ?」
「僕は盗賊が羨ましかった。僕の好きな人に好かれてるし、正義の為に非情になれて、人一倍仲間思いだ!」
「そんな風に、羨ましくて羨ましくて、羨ましくて―――毎晩、苦悩してた僕への同情なんだろ?」
僧侶「違う、違う……私は、勇者様が……」
勇者「うん、本心だろうね。君は勇者である僕を支える為に、自分の想いよりも僕を優先したんだもの」
「僕がどれだけ酷く、雌犬の様に扱おうと……耐え忍んで、受け入れてくれたね。本当に、可愛い人だ」
勇者が僧侶の法衣を引きちぎる――肢体が露わになり、僧侶は叫ぶ。
魔法使いは信じられないと、絶望の表情を浮かべて地面に転がっているだけ。
そして盗賊はやはり声も出せず、その光景を眺めるしか出来なかった。
146Res/106.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。