過去ログ - 紬「桜の樹の下の彼女」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/17(金) 17:05:51.09 ID:2FTYkEm5o

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「紬さんは、生きることは幸せですか?」

「どうでしょう、わかりません」

「幸せを感じてもらわないと復讐にならないんですがね」

「……では、善処します」

「よろしい。そうやって幸せな日常を積み重ねていってください。積み重ねて、積み重ねて」

「つみかさねて……」

「その積み重ねられた幸せを他の何かが奪う寸前に、俺が奪い取ってやります。貴女の幸せな毎日を理不尽に奪って、殺してやります」

「はい」

「その時まで幸せに生きてもらわないと困りますからね。また来ます」

「ありがとうございます」

「……殺すと言っているのに礼を言われるのにも、もう慣れました」

「私が感謝すれば、貴方は善人になりますからね」

「では逆に、貴女が殺した姉はどうでしたか? 感謝していましたか?」

「………」

「……忘れてください。すいません。ではまた」


私が殺したりっちゃんは、笑っていた。私の記憶の中のりっちゃんは、いつも笑っていた。
だが、それは私に感謝したからなのか、と聞かれると、それはわからない。
私は彼に感謝する時、どんな顔をしているのだろうか。それがわからないため、笑っていれば感謝しているんだ、と考えることが出来ない。
しかしそれでも、彼が私を殺してくれる日には、きっと私は笑うだろう。
りっちゃんが笑顔だったんだから、私も笑顔でありたい。それでようやく対等になれる気がするから。
それが正しいことなんだと信じたいが、正解はわからない。

ひとつ確かなことは、田井中姉弟は笑わなければそこまで似ていない、ということだ。


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