12: ◆8HmEy52dzA[sage saga]
2015/07/17(金) 21:41:40.62 ID:0XhJBn560
「ところで阿良々木くん」
「なんだ?」
「本当の秘蔵品は、どこにあるのかしら」
「――――え?」
先ほど発掘したエロ本は、確かに多少特殊なものではあったのだけれど。
なんと言うか、阿良々木くんにしては大人しすぎる気がするのよね。
「な、何を――」
「忍ちゃん」
その反応で確信に至り、阿良々木くんの背後に声を掛ける。
阿良々木くんが本気で見つかりたくないものを隠すのならば、文字通り誰にも見つからない場所。
そう、例えば、人間の手が決して伸びない異空間――とか。
「ドーナツ、三十個」
僅かな間も挟まず、阿良々木くんの影から手が伸びる。
その手には、数冊の本が握られていた。
「おい、何を考えてるんだ忍、僕を裏切る気か! ちょっ、やめてください戦場ヶ原さん!」
「契約成立、ね」
本を受け取り、忍ちゃんの人差し指と私の人差し指を突き合せる。
忍ちゃんは手だけで別れを告げると影の中へと戻って行った。
「頼む戦場ヶ原! これだけは本当に見られたくないんだ、どうか慈悲の心でお願いします!」
「あらそう。どんな内容なのかとても楽しみだわ」
「戦場ヶ原ぁ!」
悲痛な叫びが部屋中に響く。
そんなに嫌がられたら、意地でも見たくなっちゃうじゃない。
それに、こっちの方がよっぽど私らしいわよね。
「安心なさい、阿良々木くん」
あの日、放課後の夕暮れの中。
階段から落ちた私を、あなたが受け止めてくれたように。
「I love you」
どんなものでも、受け止めてあげるから。
END
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