28: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/27(月) 01:12:05.96 ID:x8AHwltW0
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
兵装の実地試験もこなし伊勢さんたちとも合流したことで、夕張艦隊が鎮守府への帰路についてから数日が経った。
いつもと同じように迎えるはずの朝は寝苦しさのせいで普段よりも早く起こされて始まる。
顔を洗って鏡に映る自分の顔を見て驚いた。
私の顔ってこんなに暗かったっけ……?
笑ってみようとして顔の表情が上手く動かなくなってた。
どうしよう?
困れば困るほど、ますます上手く笑えなくなってしまう。
鏡としばらくにらめっこしてから、今はどうもならないと見切りを付けた。
……それでも誰かに会えば自然と笑えるような気がする。嘘で固めた笑顔でいいのなら。
卑屈な考え方なのは分かっていても、そう思ってしまう心を止められなかった。
笑えないのなら別に笑わなくてもいいよね……それで辛さが軽くならないとしても。
あれこれ考えて鬱々し始めた思考は後ろ向きで、それだけで私の気を滅入らせていく。
一緒に朝食を作る鳳翔さんが私を一目見て、すぐにこう言う。
「後でお話しましょう」
下がり気味の眉が作る表情とは逆に、断るのを許さない強い響きが声には含まれていた。
一も二もなく私は頷いた。断る気なんて初めからないんだから。
でも、この約束は果たされなかった。
朝食が始まる前に八雲が深海棲艦の偵察機に発見されてしまったために。
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