21:名無しNIPPER
2015/07/25(土) 21:57:58.16 ID:FaQC2Jtr0
――スラム街のとあるバーにて
女「――スパーダの伝説って、聞いたことあるでしょ?」
ショートヘアの癖のついた黒髪に白いコート、色味の強いサングラスを掛けた周りとは一風違った雰囲気を放つ女性は、店のバーテンと何やら会話をしていた。
女「小さい頃、父がよく聞かせてくれた……昔、一人の悪魔が人間のために戦ったって」
女「そして剣の力を使って魔界を封じ込めた――」
女はカウンターのワイングラスを手に取る。
女「自分の強大すぎる力と一緒にね?」
そして、グラスを少し揺らしながら、中に注がれた赤ワインが渦を描く様を見つめる。
女「信じてなかったわ、おとぎ話だと思ってたの……でも伝説は本当だった、スパーダは実在したの」ゴクッ
彼女はしばらくグラスを揺らした後、その手を止めワインを飲む。
女「んはぁ……どうして分かったか?スパーダの息子に会ったからよ……二人の息子にね?」
女「二人は血を分けた兄弟のはずなのに、殺し合いのような戦いを続けていた」
女「仲の良い兄弟喧嘩のようにも見えたけど、結局――」
コト……
彼女はグラスを静かに置く。女の口紅が付着した淵から一滴、ワインが滴り落ちる。
女はその様子を見つめながら一言、こう言った。
女「――生き残ったのは一人だけ」
ポタッ……
滴り落ちたワインは、そのままカウンターへとゆっくりと落ちる。
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