22:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 18:09:54.06 ID:iBbZOZDx0
男「そう言えば、初めて会った時も、こんな通り雨でしたね……」
女「ええ、あの時は驚きました」
男『生憎の雨ですね』
女『あら、私は好きですよ。雨の音は落ち着きます』
男「はは……」
女「ふふ……」
女「……そろそろ、限界のようです」
男「……!! はい」
女「では、男さん。改めて」
女「最期に素敵なプレゼントをありがとう、孤独を救ってくれてありがとう」
女「貴方がいたから……私は、幸せでいられました」
男「……ええ」
女「私を好きになってくれてありがとう」
女「では……」スウゥウゥ
男「あ……!」
女「……」クス
「――また、いつか」
「……はい、またいつか」
女「男さん……大好きです」ニコ
カラン……
男(僕の目の前で、大好きな人は消えてしまった)
男(残されたのは、狐のお面と一つのビー玉)
ザアアァアァ……ァアァ……ァ……
……ミン……ミーンミンミンミー……ミーン……
男(空が晴れた)
男(吹き抜ける風は、何故かとても寒くて)
男(目が眩みそうな蝉時雨が鳴り響いているのに、彼女がいない神社はひどく静かに感じられて)
男「……あ、虹」
男(雨上がりの空は、大きな虹が出ていて――彼女が言っていた通り、空がよく見えて)
男「何で今なんだよ……はは」
男「女さん、虹が綺麗ですよ……でも、何故でしょうね。ちっとも心に響かない」
男(よく考えれば、僕は彼女に好きという言葉すら伝えていなかったではないか)
男「もう……何で今更気付くんだよ」
男(僕は声を上げて泣いた)
男(目から溢れる熱いものは、炎天下の熱に紛れ)
男(さらに大きくなった蝉時雨が、その声を静かに塗りつぶしていった)
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