過去ログ - 犬勇者「わんわんお!」
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133: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2016/01/15(金) 06:41:53.45 ID:/aoxDJVuo

勇者帰還す――その号外は王都のみならず、周辺の村々にまで伝わる事となった。
全世界が勇者一行へと注目している。それは平和を望む声の大きさがそうさせているわけで。
王都へと僧侶、魔法使い、戦士が昏睡状態で打ち捨てられてから数日と経たない内の事だったから、王都はてんやわんや。

王「ああ、勇者よ……よくぞ、よくぞ生きて帰って参った。国々がそなたを心配しておったぞ」

王は心底安堵したかの様に……しかし、それでいて恐る恐る勇者の顔を見つめていた。
それもそのはずだ。勇者が此処に居るという事は「魔王討伐」の成功か、撤退かを意味する。
件の三人からしても、後者の方が色濃いという判断になるのだから……。

「申し訳ありません。魔王討伐は……」

その一言に周囲の兵士達はざわめいた。絶望、失望、困惑……ありとあらゆる負の感情が玉座の間を包む。

王「……良い、そなたが生きている事が希望よの。今宵は旅の疲れをゆるりと癒やすが良い」

王もまた、落胆の色は隠せなかった。だがしかし、戦い、疲弊し、一人帰ってきた”勇者”に誰が難癖をつけられようか。

王「じゃがその前に、此度の旅の話を聞かせてくれるかの。皆々、不安に思っておるのでな……」

勇者は暫く、訝しげに眉を顰めていた。それも直ぐに消え、申し訳なさげに口を開く。




「はっ。それでは暫しお聞き下さい――――私が、魔王を”討伐した”話を」



その顔は、正しく勇者たる精悍な相貌。一つの偉業を成し遂げた人間の顔に相違なかった。



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