34: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/03(月) 19:22:18.38 ID:RYHG2sjFo
犬勇者(それにしても勇者の姿が確認出来なかったか。まあ、そりゃ俺がここにいるからな……)
とはいえ三人が昏睡状態とはいえ、生存の確認がとれたのは僥倖だ。
魔王の目論見は不明だし、考えれば考える程……最悪のパターンも想像出来なくはないが、今は素直に喜ぶ。
呪術師「……それで、妹たちは?」
使者「城内の神官室にて眠っておられる。呪いの類かと、神官総出で目覚めさせようとしている」
呪術師「そう……勇者はいないけど、妹たちの生存が確認出来たのは嬉しい。でも、それだけじゃないでしょう」
使者は頷く。その顔は険しく、少しばかりの嫌悪も混じった視線があった。
使者「ついては呪いの分野に詳しい、貴女にも解呪を願う。これは王家から冒険者ギルドへの正式な依頼だ」
呪術師「……良いの?」
使者「確かに、呪術は忌避されるものだ。だからこそ、正規に冒険者ギルドへ登録されている貴女にしか頼めん」
……以前呪術師が言っていた通り、やはり呪術というものは恐れられている。
王都としては極力、その存在を明るみに出したくないが……状況が状況なだけに、仕方ないと言った所か。
使者「明日にでも来てくれ。出来る限り、人の目には触れずな。以上だ……失礼する」
使者はそれだけ伝えると、踵を返し扉を閉める。
やけに静かになった家屋で、俺は呪術師の背中を眺めていた―――少し、震えていた様に見えた。
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