68: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/17(月) 23:22:09.73 ID:DSNxDsCAo
だけど、私には効かない―――。
呪術師「…………かくれんぼは、終わり」
指先から流れる血ではなく、黒衣の中にある私の血液が詰まった試験管を地面に叩きつける。
硝子の砕ける音が響き、血液が飛び散る―――そして、視界が歪み、呪術による結界を”上書き”する。
呪術師「小心者のわりに、術式が甘い」
術者「な、なななな……なんだと……っ!?」
無限の回廊を何もない、真っ白な一室へと変える。
その白い部屋にいたのは、小太りの見窄らしい、私と同じ黒衣の中年だった。
術者「何をした、貴様、何をした!?」
「二重にかけていた結界が、そう簡単に解呪されるわけがないだろう!?」
呪術師「扉は解呪。下級呪術にも程がある。無限回廊は上書きした……呪いは、呪いで上書きできる」
術者「そんな……馬鹿な……貴様、何者……っ」
呪術師「ギルドの人間。呪術の研究はギルド並びに王都の許可なくして禁止されている」
「貴方は許可を……取っていない。だから、私が此処に居る……観念、するべき」
術者「くっ、そう簡単に殺されてたまるか! お前も、呪術を使うのなら……何故、高みを目指さん!」
「なぜギルドや王族に媚びへつらい、探求に限界を決めているのだ……!?」
呪術師「………」
私は彼の言葉に耳を貸さない。呪術の探求の為に他者を犠牲にする者に貸す耳などありはしない。
私の頭上に浮かんだままの火球を掌に―――そして、彼へと突きつける。
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