5: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/08(土) 23:03:10.07 ID:eMWdeDR60
なんだと思っていると、嬉しさを隠せない顔で言われた。
「やっぱり教えちゃう、私もなの」
「何が?」
「決まってるじゃない、改二だよ。私にも届くの」
「なんだよ、もっと早く言ってくれればよかったのに! やったじゃん!」
「ありがとう」
素直にすごいと思って単純に嬉しかった。次の一言を聞くまでは。
「これでもっと司令官さんの力になれるよ」
「――そっか。まあ鳥海なら当然だよな。あたしの妹だからな」
「何よ、それ。でも本当にありがとうね、摩耶」
「いいから行けって。遅れちゃまずいんだろ」
はにかんで離れていく鳥海を見送る。それしかできない悔しさを感じながら。
妹は変わった。そして、また変わる。
内面だけでなく、きっと外側も。
鳥海はどんどん強くなっている。
同じぐらいだと思っていた練度はいつの間にか開いていた。
向こうは秘書艦も兼ねてるから出撃の機会はあたしより少ないのに、今や鎮守府でも指折りの戦力と言われるようになっていた。
変わる鳥海を前にすると、どうしたって意識してしまう。
あたしはどうなんだと。
あたしはあたしだ。けれど鳥海に手を伸ばせなくなるのは……遠くなってしまうのはもう嫌だ。
「……自主トレでもするか」
のんびり休むという選択肢はあたしの中から消えていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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