過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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305: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:20:13.08 ID:s8phhYh5O
麗がかつて手にした、トップアイドルの印。

凛を間接的ながらこの世界へ誘った、最高の証。

Pをこの世界へ引き込んだ、栄冠の星。
以下略



306: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:21:02.82 ID:s8phhYh5O

実際のステージを視察した二人は事務所へ戻り、次に、その場所へ如何にして立つか、を話し合った。

応接スペースを使って、膝と顔を突き合わせる。

以下略



307: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:21:32.25 ID:s8phhYh5O
「……私で第一級だったら、世の中の女子は第一級ばかりだと思うんだけど」

「馬鹿云え、凛ほどの逸材がゴロゴロ転がっててたまるかよ。自分が美人だっていう自覚ないのか?」

「それ初めて会った時の社長にも云われたけどさ、二人して私のこと買い被りすぎじゃない?」
以下略



308: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:22:08.39 ID:s8phhYh5O
同程度の美人が二人いたとして、片方は卑屈に謙遜し、もう片方は自らに確信を持っていたら。

後者の方が、より美しく感じられるものだ。

無論、その自信や確信が不遜の域に達してしまえば逆効果ではあるのだが。
以下略



309: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:22:40.80 ID:s8phhYh5O
新人が世に出るにあたって、とにもかくにも幅広く知られるようにならなければならない。

他人に知られていない、というのは即ち存在しないと同義なのだ。

渋谷凛は、ここに存在します!
以下略



310: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:23:09.98 ID:s8phhYh5O
それでも、これまでと同じレッスンを再度繰り返して大丈夫なのかと云う不安を持つのも事実だ。

「今は苦しくても、じきに楽しいと思えるようになると思う」

凛が憂いに少しだけ顔を曇らせたのを見て、Pは柔らかく、ゆっくり語った。
以下略



311: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:23:35.21 ID:s8phhYh5O
「アイドルってのは享楽を具現化する像だ。お前自身が楽しめなければ、お客さんを喜ばせることはできない」

「私自身が、楽しめなければ……」

「そうだ。お前だって、テレビ等で見るアイドルたちが、厭々そうにしていたら嬉しくも何ともないだろ?」
以下略



312: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:24:24.96 ID:s8phhYh5O
「まあそれも一理あるんだがな、でもやっぱり内面から楽しめていると、笑顔の輝く度合いは違うものさ」

「ふぅん……そういうものかな……」

「ああ。それに、アイドルは奴隷じゃないんだから、無理をさせてまでお前を縛ろうとは思わないさ。
以下略



313: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:25:26.32 ID:s8phhYh5O
「いや、まぁ……それは逆に、社長には見つけてくれてありがとう、
 そしてプロデューサーには磨いてくれてありがとう、って感じだけどさ」

凛の意外な感謝の言葉に、Pは期せずして相好を崩した。

以下略



314: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:26:01.76 ID:s8phhYh5O
例の大失敗から、Pも大きく得るものがあったようだ。

担当アイドルに対する考え方、接し方、それぞれに、明確な変化があった。

凛もそれを肌で感じたのか、ほんの少しだけ頬を染め、気恥ずかしさに手許へ視線を落とした。
以下略



315: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:26:42.54 ID:s8phhYh5O
これまでの教訓を踏まえて、適度に休日を作ること。今日、最も重要な厳命と云えよう。

「うん、……頑張ってみる」

「何かあったら、気軽に相談してくれて全く構わない。溜め込むことだけはしないでくれな」
以下略



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