過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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311: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:23:35.21 ID:s8phhYh5O
「アイドルってのは享楽を具現化する像だ。お前自身が楽しめなければ、お客さんを喜ばせることはできない」

「私自身が、楽しめなければ……」

「そうだ。お前だって、テレビ等で見るアイドルたちが、厭々そうにしていたら嬉しくも何ともないだろ?」
以下略



312: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:24:24.96 ID:s8phhYh5O
「まあそれも一理あるんだがな、でもやっぱり内面から楽しめていると、笑顔の輝く度合いは違うものさ」

「ふぅん……そういうものかな……」

「ああ。それに、アイドルは奴隷じゃないんだから、無理をさせてまでお前を縛ろうとは思わないさ。
以下略



313: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:25:26.32 ID:s8phhYh5O
「いや、まぁ……それは逆に、社長には見つけてくれてありがとう、
 そしてプロデューサーには磨いてくれてありがとう、って感じだけどさ」

凛の意外な感謝の言葉に、Pは期せずして相好を崩した。

以下略



314: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:26:01.76 ID:s8phhYh5O
例の大失敗から、Pも大きく得るものがあったようだ。

担当アイドルに対する考え方、接し方、それぞれに、明確な変化があった。

凛もそれを肌で感じたのか、ほんの少しだけ頬を染め、気恥ずかしさに手許へ視線を落とした。
以下略



315: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:26:42.54 ID:s8phhYh5O
これまでの教訓を踏まえて、適度に休日を作ること。今日、最も重要な厳命と云えよう。

「うん、……頑張ってみる」

「何かあったら、気軽に相談してくれて全く構わない。溜め込むことだけはしないでくれな」
以下略



316: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:27:33.16 ID:s8phhYh5O


――

そして一週間が経った。
以下略



317: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:28:25.13 ID:s8phhYh5O
Pの方はと云えば、早速凛のデビューステージの段取りをほぼ組み終わっている。

小さ過ぎず、かといって分不相応に大き過ぎもしない適度なキャパシティの箱を片っ端から一本釣りし、
そこでよくライブを行うアイドルたちと合同のステージを企画した。

以下略



318: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:29:08.85 ID:s8phhYh5O
地下で活動するアイドルは、既存曲のカバーが多い。

理由は当然、その方がラクだし初期投資も少なくて済むからだ。

かといってカバーだけではそこらのカラオケと何ら変わらない。
以下略



319: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:29:35.70 ID:s8phhYh5O
「さぁて間に合うかね……」

Pは事務所で半田ごてをいじりながら、独り言つ。

この日、社長はじめP以外の全員が諸々の用事で外出していた。つまり事務所にPが一人きりだ。
以下略



320: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:30:07.04 ID:s8phhYh5O
Pは半田ごてを使って、内部の電源基板からケミカルコンデンサを剥がしていた。

寿命を全うしたそれは、液漏れケミコン特有の化学臭をまき散らしている。お世辞にも良い匂いではない。

三つほど取り去ったとき、立て付けの悪いドアが、あまり精神衛生に宜しくない摩擦音を立てた。凛だ。
以下略



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