過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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315: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:26:42.54 ID:s8phhYh5O
これまでの教訓を踏まえて、適度に休日を作ること。今日、最も重要な厳命と云えよう。

「うん、……頑張ってみる」

「何かあったら、気軽に相談してくれて全く構わない。溜め込むことだけはしないでくれな」
以下略



316: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:27:33.16 ID:s8phhYh5O


――

そして一週間が経った。
以下略



317: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:28:25.13 ID:s8phhYh5O
Pの方はと云えば、早速凛のデビューステージの段取りをほぼ組み終わっている。

小さ過ぎず、かといって分不相応に大き過ぎもしない適度なキャパシティの箱を片っ端から一本釣りし、
そこでよくライブを行うアイドルたちと合同のステージを企画した。

以下略



318: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:29:08.85 ID:s8phhYh5O
地下で活動するアイドルは、既存曲のカバーが多い。

理由は当然、その方がラクだし初期投資も少なくて済むからだ。

かといってカバーだけではそこらのカラオケと何ら変わらない。
以下略



319: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:29:35.70 ID:s8phhYh5O
「さぁて間に合うかね……」

Pは事務所で半田ごてをいじりながら、独り言つ。

この日、社長はじめP以外の全員が諸々の用事で外出していた。つまり事務所にPが一人きりだ。
以下略



320: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:30:07.04 ID:s8phhYh5O
Pは半田ごてを使って、内部の電源基板からケミカルコンデンサを剥がしていた。

寿命を全うしたそれは、液漏れケミコン特有の化学臭をまき散らしている。お世辞にも良い匂いではない。

三つほど取り去ったとき、立て付けの悪いドアが、あまり精神衛生に宜しくない摩擦音を立てた。凛だ。
以下略



321: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:30:35.30 ID:s8phhYh5O
「おうお疲れ。これは音の機材だよ。秋葉原でジャンク品を安く調達してきて、直しているところだ」

新しいコンデンサを半田づけする目線を逸らさないまま、Pは答えた。

「音の機材? それで何をするの?」
以下略



322: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:31:08.36 ID:s8phhYh5O
Pは顔を挙げて「おいおいおい随分非道い云い種じゃないか」と口を尖らせた。

「ごめん、あまりにも予想外だったからさ」

「いいさ。ま、昔取った杵柄ってやつだよ。大学の頃にちょっとかじってた」
以下略



323: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:31:45.74 ID:s8phhYh5O
「ふうん……私の曲、か。楽しみに待ってていいのかな?」

凛が、作業中のPの顔を覘き込むように、机に顎を乗せて訊ねた。

「……あまり過度な期待はするなよ」
以下略



324: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:32:17.45 ID:s8phhYh5O
日々の内容に大した差異はないはずだが、明確な目的を認識するだけで気の持ちように変化が現れる証左だ。

Pは満足げに頷いて、修理を終えた機材に火を入れた。

買ってきた時点ではうんともすんとも云わなかったディスプレイが、明るく反応する。
以下略



325: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:33:02.55 ID:s8phhYh5O
鼻歌を奏でながら、一緒に入手した中古の鍵盤を接続して動作を確認していると、
事務用品の補充に外出していたちひろが戻った。

Pの予想よりも早い帰社だった。

以下略



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