過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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347: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:53:42.41 ID:s8phhYh5O

レッスンから戻った凛を、半ば拉致するようにやって来たのは、井の頭線は新代田『フォーエバー』。

キャパシティは数百人と、決して大きいとは云えないライブハウス。

以下略



348: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:54:44.71 ID:s8phhYh5O
「しかも何だ、新しいバンドでも組んだのかと思ったらJK同伴で二人だけの貸切たぁ、妙な使い方じゃねえか」

「いやーすいません、ここならきっと便宜を図ってくれると信じてたんで」

「ったく都合のいいハナシだぜ」
以下略



349: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:55:14.69 ID:s8phhYh5O
フロアに入り、ドアを閉めると、借りてきた猫の如く押し黙っていた凛が、ようやく口を開く。

「……あの人とは知り合いなの?」

「ああ、昔、ちょっとな」
以下略



350: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:55:54.52 ID:s8phhYh5O
「何も聞いてないよもう! ていうかプロデューサーが私に特訓って何? さっきレッスンしたばかりじゃない」

両手をカーデガンのポケットに突っ込んだまま、凛は口を尖らせ抗議を寄越した。

「慶ちゃんたちトレーナーさんとは違うアプローチでな、お前のリズム感を鍛えるんだ」
以下略



351: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:56:28.06 ID:s8phhYh5O
シンプル・オブ・シンプルで展開が非常にゆっくりな、電子音の羅列。

一歩間違えば、ただ単調な音楽として烙印を押されかねないのに、不思議と格好良いと思えてくる音楽。

かつて電子機材が貧弱だった時代、その制約を逆手に取って生み出された芸術、ミニマルテクノだ。
以下略



352: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:56:58.24 ID:s8phhYh5O
「凛。お前は、ぶっちゃけ云えばリズムがだいぶ拙い」

Pの正直な指摘に、自覚のなかった凛は目を丸くした。

「え? 私の中では正確に刻んでいるつもりなんだけど……」
以下略



353: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:57:31.91 ID:s8phhYh5O
「はいOK」

Pが制すると、手にはマイク付きのレコーダー。凛のクラップを録音していた。

「じゃあ聞いてみよう」
以下略



354: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:58:01.79 ID:s8phhYh5O
Pはそれをラップトップコンピュータに取り込み、波形として表示した。

手の鳴るタイミングごとに切り取って並べると、長さが全く揃っていないことを文字通り“見せつけ”られる。

「聴覚だけだと結構あやふやだけどさ、こうやって視覚化すると、結構……心にクるだろ?」
以下略



355: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:58:32.42 ID:s8phhYh5O
再度、ブースの機材でミニマルテクノを流し出して問う。

「凛は普段、どんな曲を聴いている?」

「いつも聴いてるのは特にこれと云ったこだわりはないけれど……音楽番組を見て気になる曲を買う程度、かな」
以下略



356: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:59:00.31 ID:s8phhYh5O
ミニマルテクノは、使う音が少なく構成が単純な分、反復で快楽を与えむとするジャンルである。

フレーズの反復、展開の反復。そしてそれら全てに関わってくるのが、リズムを反復することの気持ち良さだ。

そして、リズムによって精神をトランスさせるべく、とても高度にパターンが練られたものが多い。
以下略



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