過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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39: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:30:41.70 ID:s8phhYh5O
しかし男はそれを気にしない。

「君の全身から、お花の香りがする。芳香剤ではない、青く潤う生花の薫りだ。多分、お家は花屋さんのはず。
 そして手先は若干水荒れを起こしているね。きっと、ご両親の手伝いを精力的にこなしているのだろう」

この男は、家業を難なく云い当てた。これがスカウトマンの眼と嗅覚か。

ブラフかどうかは判らないが――凛がよく手伝っていることも見抜いている。

花屋は即ち水仕事と云って過言ではない。四六時中水に触れていると、肌を保護する皮脂が流失し荒れてしまう。

凛は、慌てて手先を袖の中へ潜らせた。

男の云い分を認めるようで癪だが、何故だか、隠さずにはいられなかったのだ。


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