過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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393: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:35:08.59 ID:s8phhYh5O
ノウハウを共有したことで卯月や未央も凛同様にステージデビューし、めきめき力をつけている。

三人は、抜きつ抜かれつ、追い付け追い越せと切磋琢磨し合っていた。

CGプロも、『金食い虫』だった凛が金を少しずつ稼ぐ存在に変わってきたことで、
以下略



394: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:35:40.61 ID:s8phhYh5O
そんな夏本番が迫った日、銅が地方の営業先で行なった紹介が、ローカル局から本局へつながった。

ライブの評判を聞きつけたフジツボテレビの担当者が、ライブフェスティバルへの参加を打診してきたのだ。

なんでも、八月末に臨海副都心で二日間開催されるサマーライブフェスに大幅な欠員が生じてしまったらしい。
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395: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:36:14.99 ID:s8phhYh5O
欠員は先方の都合とはいえ、CGプロは立場が弱いし、主催のフジツボにとってはただの補充に過ぎない。

ゆえにフェスのタイムスケジュールや、複数ある会場の割当は全て向こうに任せるという交渉結果となった。

しかし、好き嫌いを云っていられないし、何よりも担当者が非常に喜び、CGプロへの好感触を得た。
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396: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:37:06.69 ID:s8phhYh5O
制作フロアは多忙で駆け回る人から一仕事終えてまどろむ人まで、多種多様な姿が見える。

Pと凛は、資料と音源映像の入ったDVDを手当り次第に配り「新人アイドルの渋谷凛です」と営業をかける。

全ての者が「時間があったら観ておくよ」と薄い反応だったが、想定の範囲内。
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397: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:37:38.10 ID:s8phhYh5O
駆け寄ってDVDを渡すと、あまり興味がなさそうだったものの、それでも立ち止まってはくれた。

「渋谷、凛、ねぇ? ……聞いたことないな。まあそれなりに小綺麗だけど」

金本という名札を首から下げたそのディレクターは、凛を頭から足の先までじろじろと値踏みするように視る。
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398: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:38:33.25 ID:s8phhYh5O
チャンスだ、とPは思った。

普通、資料等を受け取ってもらえなければ次には繋がらないが、多忙な金本はこの場で完結することを望んだ。

ならば一気に決められるかも知れない。
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399: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:39:03.03 ID:s8phhYh5O
西日の差す広い廊下で、凛は歌い、舞い、これまでの成果を遺憾なく発揮する。伴奏などなくとも、構わない。

Pの目には、凛の踊る場所が即席のステージに映った。もはやそこは、廊下ではなかった。

1コーラス分を演り終えて頭を下げる凛。その仕種は、しなやかで、女性的で、しかし力強い。
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400: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:39:30.34 ID:s8phhYh5O
そう思って金本を向いたPは、しかし、予想に反して嗤う顔が目に入った。

「いやぁ、実は今回手掛けてる枠は既に埋まってるんだよ。残念だったね」

つまり、最初から使う気など、否、考える気すら皆無だったと云うこと。
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401: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:40:00.03 ID:s8phhYh5O
凛は、隙あらば捕食せむと狙う金本の瞳に、固まって何も答えられない。

その様子に満足したのか、下卑た笑いを残して消えてゆく。

誘発されたか、周りから失笑が漏れ聞こえた。
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402: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:40:33.03 ID:s8phhYh5O

「あンの糞野郎! 俺ならいざ知らず、凛本人を虚仮―こけ―にしやがって!」

Pは、つい先日稼働を始めたばかりの社用車へ乗り込むやいなや、悪態を我慢しなかった。

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403: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:41:18.58 ID:s8phhYh5O
アイドルが心地よく活動するために、業界の黒い部分はPたちスタッフが受け持つ。

その代わり、アイドルはいつでも全力投球に集中する。

金本は、そんな配慮を飛び越える嫌がらせを、Pたちに振り掛けた。
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