過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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397: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:37:38.10 ID:s8phhYh5O
駆け寄ってDVDを渡すと、あまり興味がなさそうだったものの、それでも立ち止まってはくれた。

「渋谷、凛、ねぇ? ……聞いたことないな。まあそれなりに小綺麗だけど」

金本という名札を首から下げたそのディレクターは、凛を頭から足の先までじろじろと値踏みするように視る。
以下略



398: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:38:33.25 ID:s8phhYh5O
チャンスだ、とPは思った。

普通、資料等を受け取ってもらえなければ次には繋がらないが、多忙な金本はこの場で完結することを望んだ。

ならば一気に決められるかも知れない。
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399: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:39:03.03 ID:s8phhYh5O
西日の差す広い廊下で、凛は歌い、舞い、これまでの成果を遺憾なく発揮する。伴奏などなくとも、構わない。

Pの目には、凛の踊る場所が即席のステージに映った。もはやそこは、廊下ではなかった。

1コーラス分を演り終えて頭を下げる凛。その仕種は、しなやかで、女性的で、しかし力強い。
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400: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:39:30.34 ID:s8phhYh5O
そう思って金本を向いたPは、しかし、予想に反して嗤う顔が目に入った。

「いやぁ、実は今回手掛けてる枠は既に埋まってるんだよ。残念だったね」

つまり、最初から使う気など、否、考える気すら皆無だったと云うこと。
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401: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:40:00.03 ID:s8phhYh5O
凛は、隙あらば捕食せむと狙う金本の瞳に、固まって何も答えられない。

その様子に満足したのか、下卑た笑いを残して消えてゆく。

誘発されたか、周りから失笑が漏れ聞こえた。
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402: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:40:33.03 ID:s8phhYh5O

「あンの糞野郎! 俺ならいざ知らず、凛本人を虚仮―こけ―にしやがって!」

Pは、つい先日稼働を始めたばかりの社用車へ乗り込むやいなや、悪態を我慢しなかった。

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403: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:41:18.58 ID:s8phhYh5O
アイドルが心地よく活動するために、業界の黒い部分はPたちスタッフが受け持つ。

その代わり、アイドルはいつでも全力投球に集中する。

金本は、そんな配慮を飛び越える嫌がらせを、Pたちに振り掛けた。
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404: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:41:46.21 ID:s8phhYh5O
もしかしたら、Pの激怒は、凛に口汚い台詞を云わせないための芝居だったのかも知れない。

その本心は、誰にも判らない。

斯くして、厭な思いこそしたものの、この日一番重要なフェスの打ち合わせは無難に済ませられた。
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405: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:42:21.90 ID:s8phhYh5O
「そうだね、あんな大きな規模のライブができそうだなんて、予想もしなかったよ」

参加者は60組にも達しそうな勢いで、特設会場のキャパシティもこれまでと桁違いだ。

そんな大きさのライブに凛、卯月、未央が参加できるとは、千載一遇のチャンスと云う他ない。
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406: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:43:01.94 ID:s8phhYh5O

事務所へ戻ると、早速銅と鏷に打ち合わせの結果を報告する。

凛だけでなく卯月や未央もサマーライブフェスに参加できるとあって、両プロデューサーとも気合いが入った。

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407: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:43:34.19 ID:s8phhYh5O
しかしそれには、手狭になった現在の箱の代わりを探さなくてはならない。

探索の範囲を広げて、城東だけでなく山の手の方まで虱潰しに調べ上げ、目を付けたのが、原宿。

竹下通りをはじめ表参道も近く、秋葉原等とはまた違ったポップカルチャーの発信地として、
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