過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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429: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:58:30.32 ID:s8phhYh5O
荒い呼吸に、歩みを一旦止める。

みくの声を掻き消してくれと云う思いが天に届いたか、飛行機の轟音が響き渡った。

ここは米軍基地の滑走路南端をかすめるように延びる道路。
以下略



430: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:59:33.57 ID:s8phhYh5O
見送ったのち、視線を下げると、ハナコが不思議そうに、飼い主の表情を窺っていた。

「……ごめんね、ハナコ」

凛は、自らを見上げる小さなヨークシャーテリアを抱き上げた。
以下略



431: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:00:00.69 ID:s8phhYh5O
このままでは、私は捨てられてしまうだろう。

以前の無味乾燥な日々に戻ってしまうだろう。

何もかもがつまらなく、そして何も変えられないと思っていた自分が、ようやく、楽しいと思えることに――
以下略



432: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:00:27.30 ID:s8phhYh5O
凛は胸の前で拳をぎゅっと握った。

このままこれまでと同じレッスンを続けても――

凛が腕を上げたところで、みくだって自主レッスンをこなして更に数歩先へ進むことだろう。
以下略



433: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:03:37.55 ID:s8phhYh5O


――

それからの凛は、だいぶ淀んだ。
以下略



434: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:04:28.34 ID:s8phhYh5O
それは一種の被害妄想に過ぎないのだが、凛自身にとっては深刻な問題である。

たとえ無理矢理に鼓舞しようとも、心の安寧を脅かす思考から離れることができない。

自らを磨く為でなく、ただ予定表に書かれているからレッスンをこなす。
以下略



435: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:04:58.96 ID:s8phhYh5O
再度ステージに立たせるべきか?

 ――トラウマが甦ったらどうする。

レッスンにとことん打ち込ませるべきか?
以下略



436: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:05:33.92 ID:s8phhYh5O
「休ませる、なのかなぁ……」

ここ最近のレッスン中に見せる凛の顔が、以前に比べて暗く疲れているように感じたから。

少し気分転換が必要だろうか。
以下略



437: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:06:17.44 ID:s8phhYh5O
「おう、お疲れ」

Pが手招きをすると、凛はきょとんとした顔でそばへ寄った。

「明日から少し休みをやるから、羽根を伸ばしてみたらどうだ?」
以下略



438: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:06:46.29 ID:s8phhYh5O
「それって、もう私なんて要らない、ってこと……?」

気が滅入っている状態では、どんな些細なことも悪い方向に考え、悪い方向に受け取ってしまうものだ。

さらにはタイミングの悪いことに、凛は今、月に一度のナーバスな時期だった。
以下略



439: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:07:40.12 ID:s8phhYh5O
「要らない、なんてそんなわけないだろ。上の空の状態でレッスンを何度やってもあまり吸収できないだろうし」

「上の空って何……私はきちんとレッスンしてるんだよ!?」

「それは充分判ってる。でもレッスンスタジオに“ただ居るだけ”じゃ仕方ないしな」
以下略



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