445: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:11:29.00 ID:s8phhYh5O
――
翌日。
446: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:12:01.45 ID:s8phhYh5O
Pのことは兎も角、慶たちに要らぬ心労を掛けてしまっているのは本意ではないし、サボりは完全に凛の責だ。
昨日すっぽかしたことを直接謝ろうと、飯田橋までやってきたのだ。
防音扉の固いノブを開け、「おはようございます」と述べる。
447: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:13:00.25 ID:s8phhYh5O
「二人とも、そんなに血相変えてどうしたの……?」
「昨日から全然電話がつながらないんだもん、何かあったのかって心配したんだよ〜〜」
卯月が凛の二の腕を掴んでぶんぶんと振った。
448: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:13:37.19 ID:s8phhYh5O
凛は卯月と未央に「ゴメン」と手刀を切ったのち、明と慶を向いて、頭を下げた。
「昨日は、すみませんでした」
「もしや事故にでも遭ったか、って心配したけど、何もなかったならよかったです」
449: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:14:13.25 ID:s8phhYh5O
「ふふ、驚いたか? 昨夜、慶から相談されてな。少し様子を見に来ていたわけだ」
今しがた卯月と未央のレッスンを隣から見ていたよ、と笑って。
「渋谷君なら、きっとスタジオには顔を出すだろう――とな。予想的中だ」
450: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:14:40.15 ID:s8phhYh5O
「意見の相違なんてよくあるもんさ。それ自体は別に構わないが――レッスンの無断欠席は感心しないな」
急転、麗が重いオーラを発して戒めた。
凛は立ちすくみ、恐怖で全身に鳥肌が立つさまをはっきりと感じた。
451: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:15:21.19 ID:s8phhYh5O
それで充分と判断した麗は、再び笑った。
圧する空気は霧散し、心なしか部屋の電灯が明るくなったように思える。
「着替えてきます」
452: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:15:56.82 ID:s8phhYh5O
再びスタジオに、拍をカウントする明の声や、上履きと床の擦れるステップ音が響いた。
麗と凛は、しばらくその光景を眺め、やがて麗がおもむろに口を開く。
「妹たちから伝聞した限りでは、何やら色々とあったようだな」
453: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:16:31.88 ID:s8phhYh5O
「ライブでこてんぱんに負けて……なんか、レッスンしても無駄なんじゃないか、って思ってしまうんです」
どれだけ頑張って走り抜けても、凛がみくの位置へ辿り着いた時には、相手はそのさらに先へ行っている。
「プロデューサーには、お荷物だと思われてますし……なんだか、色々見えなくなってしまって」
454: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:17:01.36 ID:s8phhYh5O
「とにもかくにも、P殿と腹を割って話してみたらいい」
麗が、不安そうな凛の瞳を覗き込んで云う。
「アイドルとプロデューサーは共に歩んで行く同志、そして相棒。
455: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:17:34.62 ID:s8phhYh5O
「喧嘩になることの何が悪いんだい? 私もプロデューサーとはよく言い争ったもんさ」
「えっ、プロデューサー……と云うことは社長ですよね」
凛はぎょっとして、逸らしたばかりの麗の顔を視た。
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