過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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6: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:07:50.86 ID:s8phhYh5O
久しぶりに太陽が顔を覘かせた爽やかな空模様も、先を急ぐ者たちには何ら眼中にない。

まもなく春本番を迎えようと云う時節、南風に吹かれて心地よい陽気であるにも拘わらず。

閉塞した社会。
以下略



7: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:08:22.33 ID:s8phhYh5O

しかし、まるでそんなものとは無縁だと云うような雰囲気で――

車も人通りも多いスクランブル交差点の傍ら、何をするでもなくガードレールに気怠く腰掛ける少女がいた。

以下略



8: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:08:55.58 ID:s8phhYh5O
外見こそ端麗なれ、その表情は年齢と不釣り合いなほどにクール、歯に衣着せず云えば……無愛想。

近くのカフェでコーヒーを飲む或る男は、そんな彼女を気がかりに思っていた。

例えば、友人――または彼氏か――の到着を待っているような素振りには見えないし、
以下略



9: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:11:06.06 ID:s8phhYh5O

「……ん? なに?」

男が少女の方へ歩み寄ると、それまで何の反応もなかった彼女が、ごくわずかに目線を向けて問うた。

以下略



10: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:11:37.47 ID:s8phhYh5O
「まあ、用がなさそうなのは見ていれば判るんだけどな、どうにも君の様子が妙なんでね。声を掛けてみたのさ」

「ヘンなナンパの仕方だね」

「いや、ナンパじゃなくて。何か放っておけない、と云うべきか……あぁ、俺は別に怪しい者じゃない」
以下略



11: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:12:05.04 ID:s8phhYh5O
「私、急いでるから。もういい?」

どう見ても急いでいるようには思えないのだが、これは『私に構うな』と云う常套句。

「じゃ」
以下略



12: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:12:32.45 ID:s8phhYh5O



・・・・・・・・・・・・

以下略



13: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:13:38.84 ID:s8phhYh5O

まもなく大型連休を迎えるものの、世間はそれを手放しで歓迎できていない。

つい先日発生した、未曾有の地震の所為だ。

以下略



14: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:14:19.61 ID:s8phhYh5O
今、世間には、過度な『自粛』を強要する空気が満ちていると云っても過言ではない。

そう、個人の誕生日を祝うことすらも憚られるほど。

本来なら、今夜は通っている養成所でささやかなお祝いが開かれる予定であったが、お流れとなってしまった。
以下略



15: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:14:52.69 ID:s8phhYh5O
そこへ、数十メートル先に昇降口を構える駅から歩いてきた、体格の良い男が道を尋ねる。

少女が軽いジェスチュアを交えて教えると、合点がいったようだ。

お礼にジュースでもどうかと問うので、
以下略



16: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:15:27.37 ID:s8phhYh5O

公共交通を数本ほど乗継いだ場所にある養成所の、壁面が全て鏡張りされたスタジオ。

大勢の女の子たちに混じって、その少女の舞う姿が見える。

以下略



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