673: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:44:44.63 ID:3+pD+bLQo
「いや……今回のことって、結局は素行のよくないあたしのせいなんだろ?」
まゆみの“所為”では決してないが、まゆみを出汁に使われたのは事実だ。
「これ、あたしが身を退いた方がいいんじゃね? その方が色々ラクなんじゃね?」
674: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:45:11.22 ID:3+pD+bLQo
「まゆみとあづさとは長い付き合いだもん。友達でなくなるなんて、絶対厭だ」
二人を守るために。
かけがえのない友人たちを守るために、越堀へ移る。
675: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:45:39.22 ID:3+pD+bLQo
幸い越堀の芸能科に欠員があったので、編入試験を経れば三学期から問題なく通えるだろう。
ごたごたを収束させる決断を下し、
Pと凛そして凛の両親は、巻き込まれた二人とその両親に、迷惑を掛けたことを謝罪した。
676: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:46:22.12 ID:3+pD+bLQo
・・・・・・・・・・・・
677: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:47:28.31 ID:3+pD+bLQo
麻布十番の駅を降り、地上へ出ると、抜けるような快晴の空と肌を刺す寒風が出迎えた。
青空が広がること自体は歓迎すべきとはいえ、放射冷却で朝方の冷え込みが厳しいのは身体に凍みる。
気が早くも今年の桜開花予想が発表され、例年よりも遅咲きのようだと、朝の天気コーナーで話題になっていた。
678: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:48:21.94 ID:3+pD+bLQo
今日の彼女は、午前中に軽いインタビューを受けてから、登校する手筈だ。
冬将軍が猛威を振るう中、目の前の女子高生は若さ故か、冷えた空気に生足を惜しげもなく曝していた。
上半身には厚手のコートを羽織っているので、若干ちぐはぐな印象を禁じ得ない。
679: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:48:52.20 ID:3+pD+bLQo
凛は越堀への転校を機に、笹塚の女子寮へと移ることになった。
その方が中野坂上への通学にも、麻布十番への通勤にも、労力を減らせるためだ。
なによりも年末の件で、自分の意思とは無関係に周りの人を巻き込んでしまうことを知った凛は、
680: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:49:29.77 ID:3+pD+bLQo
だから、転校や引っ越しは、彼女の納得尽くではあるのだが。
それでも、凛はPの想像以上に、朗らかな笑みを絶やさない。
齢十六の少女がこのような状況に置かれ、ホームシックになったり、旧友を懐かしまないことなど有り得ようか。
681: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:50:01.63 ID:3+pD+bLQo
「CDデビュー?」
制作部のデスクに詰めたプロデューサー三人が、ちひろから渡されたFAXを覗き込んで、表題を呟いた。
682: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:50:32.10 ID:3+pD+bLQo
磐梯南無粉は傘下にランチスと云うレコード会社を抱えているが、そこを推してこなかったのは、
CGプロをリスペクトし独自性を保つよう心掛けている、とのメッセージだろう。
いづれにせよ、磐梯南無粉が紹介したのは、ツニーミュージックやワーニャーなどと並び、
最も有名な巨大レーベルのひとつだった。
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