過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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69: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:51:32.56 ID:s8phhYh5O
画面の中では、天海春香や如月千早と云ったトップアイドルの面々が、縦横無尽に舞っている。

彼女らの後ろには、凛が見たことのない、若い芽の姿もある。

そう、こうやってただでさえ狭い階段を、どんどんと新顔が昇って行かむとしているのだ。
以下略



70: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:52:02.05 ID:s8phhYh5O

彼女らの勇姿が消え、税務相談の広告に切り替わる。

凛は、内心ほっとして、交差点傍のガードレールに寄り掛かった。

以下略



71: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:52:32.10 ID:s8phhYh5O
絶え間なく動き続ける渋谷の街から切り離されたように、ぽつんと動かない凛。

まるで彼女の身体だけ時間が止まったかの如く。

だが、その異質なコントラストは、この日は思いのほか早く終焉を迎えた。
以下略



72: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:53:02.10 ID:s8phhYh5O

「こないだもそうだったが、何をするでもなくずっとそこに腰掛けて、一体どうしたんだ?」

「……アンタには関係ないでしょ」

以下略



73: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:53:34.80 ID:s8phhYh5O
「飲むかい? そこのカフェのキャラメルラテ、結構うまいよ」

男が、利き手にある自分のものとは別の、左手で持っている紙カップを、凛の前に差し出した。

さすがに行動が非常識すぎて、無視をしようと決めたばかりなのに反応してしまう。
以下略



74: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:54:02.76 ID:s8phhYh5O
そうは云いつつ残念そうな口調でないのは、おそらく反応を予期していたと云うことだろうか。

凛が、相手にしてられない、とばかりに視線を街中へ向けると、ちょうどQ'S EYEが切り替わった。

今度は魔王エンジェルの登場だ。
以下略



75: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:54:32.20 ID:s8phhYh5O
画面の中の彼女たちから、ニューシングルリリース告知がなされているが――

「アイドル、好きなのか?」

凛の耳に、ばっさりと思考を裁ち切る言葉が入った。
以下略



76: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:55:02.16 ID:s8phhYh5O
凛は、隣を向かず、

「……別に、興味なんてないよ。ただ、どんな世界になってるのかなと思う野次馬根性だけ」

風で揺れる髪の毛を乱雑に梳かして、ややぶっきらぼうに答えたが――
以下略



77: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:55:32.42 ID:s8phhYh5O
今度こそ、凛は隣の男をきつい表情で振り返った。

「なにを訳の判らないことを――」

「おいおいそりゃこっちの台詞だよ。こないだも今日も、妙な雰囲気でぼーっとしててさ」
以下略



78: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:56:27.67 ID:s8phhYh5O
「だいたいなんなの、物わかりの良いフリだとか何とか好き勝手云ってくれるじゃない。私の何が判るの」

「いや別に君のことは何も知らないけどさ」

凛の眼力に、男は肩を竦める。
以下略



79: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:57:23.04 ID:s8phhYh5O
「全身から醸し出してるのは“諦め”……って云ったらいいのかなあ。達観とか諦観とか、ニヒリズム。
 そんな鬱屈した雰囲気なんだけどさ、瞳は何かを希求しているように見えるんだよ」

男が、顔を凛に正対させて云った。

以下略



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