781: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:01:14.90 ID:3+pD+bLQo
「ウソ……17年も前の曲……? これが……?」
てっきり、最近発売されてまだ耳に入っていなかったものだと。
「たしか当時150万枚くらい売れたはずだ」
782: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:01:45.94 ID:3+pD+bLQo
「さっきのダンスは当時の振り付けのまま、コピーしただけなんだ。
私がアイドルを目指すきっかけになったやつさ」
麗はもう一口、水を飲んで、「いつか――このレベルのパフォーマンスを、現代に復活させたいね」と
やや離れた机にペットボトルを置きにいく。
783: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:02:16.09 ID:3+pD+bLQo
「……あの、麗さん」
「ん? どうした」
麗が振り返ると、群衆の錯覚は霧散した。
784: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:02:59.58 ID:3+pD+bLQo
「甘いことを云うようですが、業界に入って、初めて、その頂の遠さを実感しました」
自らが、さきほど錯覚に視たような、観衆によって埋め尽くされたシーンに立てるのか。
「以前は、身近に感じていたトップアイドル、それが急にとても遠くの出来事のようで……」
785: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:03:28.55 ID:3+pD+bLQo
「私、このままやっていけるのか……」
消え入りそうな凛とは対照的に、強くはっきり麗の声が響く。
「案ずることはないだろうさ。いつだったかも云ったように、渋谷にはP殿がいる。
786: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:04:02.54 ID:3+pD+bLQo
「最近、渋谷はそれをちょっと忘れ気味だったんじゃないか?」
麗が意地悪く笑って云った。
しかしその顔はすぐに慈悲深くなる。
787: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:04:30.85 ID:3+pD+bLQo
麗の頭の中には答えがあるらしい。しかし、それを凛に伝える術がないのだ。
頭同士をケーブルでつなげられるテクノロジがあれば便利なのに。
そうすれば、頭で思ったことを自動的に文字へ起こしてくれる機械も出ることだろう。
788: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:05:27.87 ID:3+pD+bLQo
――
「う〜〜川島さん、とっくりでもう一本、たっぷりくださいな」
789: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:06:00.04 ID:3+pD+bLQo
「この忙しい時期に温泉なんて……」と呆れていた凛も、いざ到着して浴衣に着替え、
卯月と未央と温泉街を散歩してみた途端に「まぁ悪くないかな」と云い出す現金な反応を見せた。
フェスから二箇月弱、ソロでの仕事がほとんどを占めていた凛にとって、
ニュージェネ三人でゆっくりできる機会は相当久しぶりのことだった。
790: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 22:06:29.71 ID:3+pD+bLQo
対して、Pは心休まる暇がない。
鏷は「ちょっくら遊んでくる」と温泉街の中心部へ繰り出した上に、
銅は何故か自分磨きと称してホテルでエステを受けている。
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