過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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845: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:34:32.91 ID:3+pD+bLQo

凛の控室に、ノックの音が響く。

扉を開けたのは、担当プロデューサー、P。

以下略



846: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:34:59.40 ID:3+pD+bLQo
「どうせここまできたら、もうやることはないんだ。スタッフの邪魔にならない範囲で、舞台の方へ行くか」

「うん、行く行く」

頷いた凛が、すっと滑らかな仕種で立ち上がり、颯爽と扉を開ける。
以下略



847: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:35:28.22 ID:3+pD+bLQo
突き当たりの角を折れると、客席のざわめきがよく聞こえるようになってきた。

もう、このすぐ先は、ステージだ。

そっと舞台袖から見る客席は満杯に埋まり、気が早くもところどころで蒼いサイリウムが光っていた。
以下略



848: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:35:56.96 ID:3+pD+bLQo
「……私は、ここへ立つため……社長に、プロデューサーに、スカウトされたんだね」

「俺も少し不思議な気分だ。勿論ここがゴールってわけじゃない。
 でも、この光景は、この埋め尽くす観衆は、一つのマイルストーンになる」

以下略



849: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:38:46.61 ID:3+pD+bLQo

凛が、一歩、二歩と進んで、Pを振り返った。

黒を基調にした、シンプルながらも可愛さと格調高さを両立したドレスの裾が、ふわり、舞う。

以下略



850: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:39:13.82 ID:3+pD+bLQo
「今だから云っちゃおうかな」

しばらくPの目を無愛想に見据えていた凛が、微笑んだ。

「初めて会った時は、私のためにここまでしてくれるなんて、思ってなかった」
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851: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:39:43.22 ID:3+pD+bLQo
凛がひとしきり思い出し笑いを終えて、ふぅ、と軽く息を吐いた。

「プロデューサー、私をここまで連れて来てくれてありがとう」

「……俺だけの力じゃないさ。凛自身の頑張りの結果だ」
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852: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:40:12.95 ID:3+pD+bLQo
凛はやや上目遣いでPを見ている。少しだけ、云いにくそうに、息継ぎを入れた。

「だからプロデューサー、これからも、私のプロデューサーでいてよ。……いいよね?」

――こんな人生を進むことになったのはプロデューサーのせいだし、おかげだから。
以下略



853: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:40:39.24 ID:3+pD+bLQo
「ずるいな凛は。そんなの、イヤと云えるわけないだろ?」

だから、わざと茶化して答えた。

「ふふっ、そうだね。さ、恥ずかしい台詞はおしまい」
以下略



854: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:41:08.07 ID:3+pD+bLQo
再び瞼を開けたところには、意思の強い、碧い宝石が輝いていた。

館内の全ての照明が降りた。

ついに――ついにこの時がきたのだ。
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