17: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 03:09:22.00 ID:MKhqyQX10
「凛。」
突然の真剣な声。先ほどまでの適当な声とうってかわったその声につられてプロデューサーのほうを見る。
「凛はここまでレッスンたくさんこなしてきたんだろ?別に不安がることはないさ。過度な緊張をする必要もない……まぁ不安になるな、緊張するなってのは難しいと思うけどさ。」
18: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 03:23:03.63 ID:MKhqyQX10
あぁ、何だ。やっぱり何だかんだでこの人はプロデューサーなのだ。
この人に触れられて、言葉をかけられて……たったそれだけなのに先ほどまで感じていた緊張や不安は和らぎ、気力が、自信がみなぎってきた。
緊張や不安がなくなったわけではない。いまだに手は震えているし、表情だってかたいままだ。
19: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 03:24:16.79 ID:MKhqyQX10
「ありきたりな言葉ばっかで悪いな……本当はもっとオリジナリティーあふれる、いい言葉をかけられればいいんだけどさ。」
「そんなことないよ。ありがとうプロデューサー。元気出てきた。」
「そうか?なら良かったよ。そうだな……あと、俺なりに言えることっていったらこれくらいかな。」
20: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 03:45:03.13 ID:MKhqyQX10
「そろそろ本番入りまーす。皆さん準備お願いしまーーーす。」
スタッフさんの声がスタジオに響く。
「そろそろ行ってくるね。」
21: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:10:23.51 ID:MKhqyQX10
「いやー、いい笑顔だったぞ凛。昔よりよく笑うようになったし、より自然になったよな!!」
「そうかな?そうだと嬉しいんだけど……。」
帰りの車。仕事終わりの心地よい疲労感を感じる。
22: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:13:46.96 ID:MKhqyQX10
「……プロデューサーって笑顔好きなの?」
「あぁ好きだな。三度の飯より笑顔が好きだ。」
「どんだけ好きなの……。」
23: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:14:22.36 ID:MKhqyQX10
だがそうなると疑問に思うことがある。
「私、プロデューサーにスカウトされたとき笑顔なんて見せたっけ?」
「いや、見てないよ。」
24: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:15:04.79 ID:MKhqyQX10
プロデューサーと初めて会ったときのことを思い出す。
休日。何の目的もなく、ただただ時間をつぶすためだけに街を歩いていたあの日。
そして世界はつまらないものだと、全てに諦めをつけていたあの頃。
25: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:16:48.79 ID:MKhqyQX10
「でもこう……この世の全てに諦めをつけたかんじがしててさ。若くて、綺麗なのにもったいないなって思ってさ。」
全てを諦めていたということを見透かされていたことに少し恥ずかしさを覚える。
「……なんかその言い方はおじさん臭いね。」
26: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:18:34.80 ID:MKhqyQX10
その日の夜。
風呂上りの手入れをしてからばたりとベットに倒れこんだ。
「そっかプロデューサーは笑顔が好きなのか。……まぁ、聞かなくてもそうなんだろうなってことぐらい予想はつくけどさ。」
27: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:19:24.49 ID:MKhqyQX10
「笑顔……か……。」
ゆったりと起き上がり鏡の前へと座る。
プロデューサーのことはもちろん好きだ。ただ、朝未央がいっていたような嫉妬するような、異性に対する好意ではない。
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