33:乾杯 ◆ziwzYr641k[sage saga]
2015/08/21(金) 22:35:35.58 ID:XKRiySpR0
「こちらからの報告は以上です」
「うむ」
物資運搬の貨物列車に乗り継ぐさい、待機していた連絡員から集合場所の変更を告げられる。
それから三時間後――。
日が暮れた京都中央、古くからの寺院がひしめく区画。
青竹と高い塀に囲まれた屋敷、知る人ぞ知る老舗料亭。
長い長いヒノキの渡り廊下を進んだ先、中庭に突き出した和室。
座敷の三つ角に照明、ぼんぼり。中央に長卓。所狭しと並べられた料理。
海鮮かき揚げ、椀物、刺身、野菜の煮びたし、黒胡麻豆腐、等々。
技巧を凝らした美杯に手ずから酒を注ぎ足す老公。漁師と見紛う地肌のあちこちにシミが色濃く残っている。
御年六十という齢に見合わぬ眼光の強さ。人を律することに慣れた態度。元海軍中将。
先の深海棲艦の討伐失敗。そのすべての責を政敵に押しつけられ、上りつめた役職を追われた男。
「そちらは、各国の状況は掴めたんですか?」
「一月近く前の情報だが、独、伊、いずれも芳しくない。
小回りの利くやつらを打ち払うには、やはり従来の艦隊のみでは都合が悪いようだ」
「では、外からの支援は見込めない?」
「せめて技術提供だけでもと思ったが、上は、艦娘のことを外に広めるのは時期尚早だと判断しているようだ」
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