47:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:52:16.17 ID:dTNveX7eo
「あ〜いいっていいって! こうして返しに来てくれたんだし」
「で、でも・・・」
48:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:52:55.39 ID:dTNveX7eo
「まー、気にしない、気にしない。
私がいいって言ってんだからさ。ね?」
「っ・・・!?」
49:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:53:36.72 ID:dTNveX7eo
「向日葵かぁ。私の桜と、季節が隣同士だね。
いや〜、実はその本、なくなってたのに気付いてなくてさ。
言われなきゃ分かんなかったし、だから本当に気にしないで」
「は、はい・・・」
50:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:54:17.87 ID:dTNveX7eo
櫻子は向日葵にその本を取ってきて貰い、適当にパラパラと捲る。
どうやら向日葵の言っている事は本当らしく、どのページにも何も書かれていない。
51:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:54:56.49 ID:dTNveX7eo
「ところで向日葵は、本が好きなの?」
「好きか嫌いかで言われれば、好きな方だとは思いますが・・・」
52:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:55:52.63 ID:dTNveX7eo
向日葵は、自分がここに来る事になった経緯を、櫻子に話した。
子供の頃の事から、今起きている親とのすれ違いまで。
初対面の相手にも関わらず、素直に、隠さずに話せるのが不思議だった。
53:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:57:06.73 ID:dTNveX7eo
櫻子はしばらく目を瞑ってうーんと考えこんでいたが、しばらくすると目を開いてこう言った。
「向日葵は、優しいんだねぇ」
54:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:57:53.92 ID:dTNveX7eo
「優しいよ、向日葵は。
迷っているのは、自分が我が儘を言う事で、周りの人が困るのが嫌だからじゃないの?」
「そう、なんでしょうか・・・」
55:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:59:08.74 ID:dTNveX7eo
張り詰めていたものが溶けた勢いは止まらず、
それと同時に、今まで感じた事のない衝動を感じた。
56:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:00:53.82 ID:dTNveX7eo
妹が産まれたのは、小学校に入った頃。
「お姉ちゃんだもの、しっかりしなきゃね」
57:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:01:43.91 ID:dTNveX7eo
しばらくして顔を櫻子の薄めの胸から離した向日葵は、
悩みの種が洗い流されたような、すっきりした笑顔をしていた。
99Res/44.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。