過去ログ - 仮面ライダーぼっち&ぼっちライダーディケイド(完結編)  
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211:くすっち天頂@公認ぼっち党員 ◆A9VvCAXQOewN[saga]
2015/09/29(火) 13:02:49.28 ID:AuVSUEXb0
「それこそ何の事だかわからないわ」

「だろ?なら一緒だ。俺が思ってるのもそういうことだよ」

「またまたご謙遜を」

少し雪ノ下に似た、しかしどこまでも不快な声が聞こえた。

「……姉さん、早く帰ったら?」

「いやー、比企谷君はいいねー。そのヒールっぷり、最高だよー」

「お前に言われたかねぇんだよ、悪党野郎」

「そういうところも好きだなー。雪乃ちゃんにはもったいないかも」

「もったいないのはあなたと話す時間だと思うわ。いいから帰りなさい」

「冷たいなー。一緒にバンドやった仲でしょ?」

「よく言うわ。勝手に好き勝手やってくれて、誰が合わせたと思っているの?」

「盛り上がってたからいいじゃん、ねぇ比企谷君」

「ま、確かに盛り上がってはいたな」

「……見てたの?」

「後ろの方でな。いい歌だったよ。お前らが歌うと妙にリアリティがあって怖かったけど」

「Alive a Lifeね。私も好きだわ」

「雪乃ちゃん小さい頃からよく聞いてたもんねー」

「いいからあなたはもう帰ったら?」

「はいはい、帰りますよ。今日は楽しかったよ。お母さんに話したら、どうなるかな、ね?」

その試すような口ぶりに怒りがわきあがってくる。

だが、雪ノ下の表情は揺るがない。

「好きにするといいわ。私はもう、あなた達に利用されるだけの存在じゃない。運命があなた

達の手の中にあるなら、私が奪い返す」

「……本当に変わったよ、雪乃ちゃん。でも、最後に笑うのは私よ」

カードデッキをかざしてそう言い、彼女は去っていった。

……本当に強いよ、お前は。

「おーいみんな、そろそろホームルームの時間だよ。教室に戻って」

陽乃と入れ替わるようにして火野先生が走ってきた。

俺達は軽く挨拶をして歩きだす。

「比企谷君、ちょっといいかな……」

呼びとめるその声は彼らしくもなく重苦しい。

振り返ると、彼は少し困ったような笑みを浮かべている。

「なんて言えばいいかな……。スローガン決めの時も相模さんの件も、君の力がなければ文化

祭は確実に破綻してた。君の活躍は、雪ノ下さんと並んで一番だと思う」

そこで言葉を切る。きっとその言葉に嘘は無いだろう。

だが、それはこれから言う言葉の前置きでもあるはずだった。

「でもね、素直に称賛する気にはなれないんだ」

火野先生はじっと俺の瞳を覗き込んでくる。

「比企谷君。君のやり方はすごいと思う、俺にはとても思いつかない。……だけど、いつも君

が、君だけが傷ついてる」

心の先まで見つめるようなそんな視線からは、陽乃や平塚のような気味の悪さや威圧感は無い

というのに、決してそらすことはできなかった。



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