過去ログ - 揺杏「ちいさなコイのハナシ」
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/14(金) 19:41:41.43 ID:g3AOr3Wb0
今回はここまでです。




23:名無しNIPPER[sage]
2015/08/14(金) 19:47:23.32 ID:hLaaUkyxo

ヒグマに食われたりしないだろうな…


24:名無しNIPPER
2015/08/15(土) 20:06:32.63 ID:9opVagSh0
 二

 次の日、部室を覗けば、爽が釣り竿を磨いていた。

 私は、滝の傍で遭った鯉の顔を思い出し、心配になった。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:07:14.05 ID:9opVagSh0
揺杏「鰻?この時期にか?」

 私は爽に言った。

爽「ノンノン。四月にでもなればもう鰻のシーズンさ。そもそも鰻を夏の土用の日に食べる風習は、江戸時代に平賀源内が夏になると暇になる鰻屋の為に宣伝したことだよ。ちなみに脂っこい魚を忌み嫌っていた江戸庶民に、油の乗った鰻が定着したのも江戸中期頃らしいぞ」
以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:20:13.72 ID:9opVagSh0
爽「そうそう。武士文化の強い関東は、腹開きは切腹を連想させるとして、背開きが定着したそうだ。ちなみに『腹を割って話す』商人文化の関西は、関東とは逆に腹開きが一般的だそうだぞ」

 しなやかな竹の竿は、爽がハンカチで磨くと、敏捷にその先を弾き、今にも飛沫が舞うような幻覚を私は抱いた。

 その時。
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:20:42.82 ID:9opVagSh0
成香「爽ちゃんは鰻釣りの名人なんですね」

 成香がそう言うと、爽は調子に乗ってへへんと鼻を鳴らした。

 なんだか、それが無性に腹が立って、
以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:21:50.22 ID:9opVagSh0
 部室には、主に爽が中心になって作り出した朗らかなムードが漂った。

 由暉子は、さっきから顔を真っ赤にしてうつむいている。
 
 こういう話になると、案外成香の方が平気なようで、コロコロと笑ってくれる。
以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:23:03.06 ID:9opVagSh0
由暉子「特に爽先輩は、牌も触らずに釣り竿ばかり磨いている程ですし、さぞ余裕があるのでしょうね?この私にみっちり指導を御願いしますよ」

 なおも不機嫌そうに言放った。

 爽を名指ししたのは、先ほどからかわれた事を根に持ってのことだろう。
以下略



30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:24:07.03 ID:9opVagSh0
 やはり、何度も昇り続けている。

 昨日私達が帰った後も、滝へ挑戦したのか、また新しい傷がその身に湛えていた。

 それがなんとも痛々しく感じ私は、
以下略



31:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:24:39.12 ID:9opVagSh0
 ヒサは、その場で身をひるがえしてこちらを向いて、

ヒサ「あら?あなた達は――–ごめんなさいね、滝に昇るのに必死で、全然気づかなかったわ」

 と言った。
以下略



32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/15(土) 20:25:07.83 ID:9opVagSh0
ヒサ「ありがとう。助かるわ」 

成香「いえ、いいんですよ」

 いつものように成香に礼を言うと、すぐに滝の方へと戻って行った。
以下略



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