過去ログ - 周子「君と一緒に」志希「またひとつ夢描く」
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5: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/16(日) 17:57:14.83 ID:c3g7vzcgo

●04

「いやー、あたしも方言とか詳しくないけどねー。
 さっき……あたしの肩をやさーしく抱いてくれたシューコちゃんから、
 はんなりのスメルが感じられて、あたしはビビっと来ちゃったのさ。ふっふー♪」

「コラ、志希ちゃん、ここお店。ヘンな発言はよしなさいな」



あたしは志希ちゃんと話していて、
この子が常人とはちょっとばかり感性がズレているのかも、と思い始めた。

「あ、ちなみにね。あたしの生まれは岩手だよー。
 産湯が北上川かどうかは知らないけど」

「へぇ、地元の人かと思うたけど。なんか、東京慣れてる感じだし」

「ううん、東京に――というか、日本に帰ってきて一週間も経ってない。
 ちょっとアメリカに何年か行ってたんだけど、帰ることになってさ」

「ほー、それって帰国子女ってやつかしら」

うーむ。
志希ちゃんのスキンシップが近いのは、アメリカナイズされてるせいかしらん。

「うーん、まぁ一応帰国子女なのかな。あっちではイロイロやらかしたけど、今のあたしは女子高生だし」

志希ちゃんは、自分の経歴について含みのある言い方をした。
何か触れられたくないところでもあるんだろうか。

「あっちの大学がつまらなくなったから、勝手に帰っちゃったんだよねー」

「えー、そんなことホントにあるの?」

志希ちゃんに感じた印象は、あたしの勝手な――
自分と似たような境遇じゃないか――なんて願望混じりのシンパシーかも。

というのも、あたしは実家を半ば強引に追い出された親不孝娘なのだ。



「ところで、シューコちゃんはさ、アイドル、やるの?」

「……どうかなぁ」

志希ちゃんの問いに、あたしは割と本気で迷っていた。

「あたしの主観だけどさ、シューコちゃんはアイドルイケそうな気がするよ。
 肌しっろいし、見た目や物腰にfoxyなカンジがして、オトコのコをトリコにしちゃいそーだもん」

「ふぉくしー……ってキツネっぽいってこと? まぁ、けっこう言われるけどね」

あたしの実家は、京都の古い和菓子屋なので、
実家でヌクヌクしつつテキトーに和菓子を売って暮らしていこうと思ったら、
その魂胆を見透かされて、家から追い出されてしまった。

「あたしがキツネなら、志希ちゃんはきっとネコだね。雰囲気的に」

「にゃっははー♪ とか言ってぬたら、似合うかな? ふっふー」

あたしが東京に来たのも、とりあえず行く宛が無いから行ってみよう、
という行き当たりばったりの旅の果てだった。





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