過去ログ - 周子「君と一緒に」志希「またひとつ夢描く」
1- 20
6: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/16(日) 17:58:06.89 ID:c3g7vzcgo

●05

「……実はね、今のあたし、割とフリーなんだよね。高校も出ちゃったし」

親も、あたしが本気で邪魔臭くて追い出したんじゃないだろうから、戻ることはできる。

けれどそうしたら、今までみたいなテキトーじゃあ済まないだろうなーと思うと、
そうそう帰る気になれない――というのが、あたしのぶっちゃけた本音だ。

「あたしは……ライブ行く前は、割と乗り気だったんだけどねー」

「へぇ? あたしは逆に、チケット貰った時は全然期待してなかったけど、
 実際に見てみたら思ったよりしっかり活動してそうな事務所で、それで迷ってる感じ」

あたしは、アイドルのパフォーマンスをフツーに楽しんでいた。
チケットで確認した出演者――前川みく、とか、相葉夕美、とか書かれてた――の名前は知らなかったけど、、
まぁこの界隈に詳しい人なら覚えがあるのかもしれない。

ともあれ、彼女らがステージでマイク持ちながらダンスしたりする姿は、
あたしがテレビとかで知ってるアイドルのイメージと、しっくり重なるものだった。



あたしの言葉に、志希ちゃんは顔をしかめた。

「ライブの雰囲気、というかハコに籠もったスメルが色々混じって滞留してて、それで気分が……。
 シューコちゃんがハスハスさせてくれなかったら、あたし、キツかったよー」

スメル――ニオイ? どうなんだろう。
あたしは、薄暗かったり狭かったりする室内に抵抗は無いんだけど。
志希ちゃんはそういう場所が、好きじゃない体質なのかもしれない。



志希ちゃんも、たぶんあたしと同じだ。
あたしたちは、自分がこれから何をしたらいいのか分からないんだ。

だから、ほかに進むべき道があれば一笑に付すような、
今まで真剣に考えたこともない芸能界への誘いに対して、ぐだぐだと迷ってる。

……それにしたって、東京は我ながら行き過ぎた感あるけど。
思えば遠くへ来たもんだ、なんて。



「……そうだ! あたし、いいコト思いついたよ!」

不意に、志希ちゃんがパッと表情を花開かせる。

「シューコちゃん、あたしと一緒にアイドルやろっ♪」

「いいけど、さっきまで悩んでたのはどうしたん?」

あたしは、志希ちゃんがためらいを吹っ切った理由が気になった。



「あたしがダウナーな気分になっちゃったとき、そばにシューコちゃんが居れば、
 シューコちゃんスメルでテンションを回復できるからだよ♪」

「あたしは志希ちゃんのお守りかいっ!」

「にゃははっ、じゃあそーゆーコトで、これからよろしくシューコちゃんっ!」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
32Res/54.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice