過去ログ - 狛枝「僕と彼女のパワプロ生活」
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8:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:13:06.35 ID:o/H/my9+0
このゲームでの選手の名付けは、悩みどころの一つだ。

あらかじめ考えていても、いざ入力する段階になると忘れてしまっていたりする。

作り終っても何て名前だったっけなんてこともある。
以下略



9:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:13:53.17 ID:o/H/my9+0
「グレゴリウス。ギリシャ風の名前かい?」

「かっこいいでしょ」

彼女は自慢するように鼻息を漏らし、プレイを始めた。
以下略



10:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:14:36.24 ID:o/H/my9+0
いつの間にかお昼ご飯の時間となり、つぎつぎと他の生徒が戻ってくる。

僕と七海さんも、小泉さんに怒鳴られるように呼ばれ、ホテル内のレストランへ急いだ。

ぼくらを収容するには十分すぎる広さで16人が集まってもスペースは有り余っている。
以下略



11:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:15:16.23 ID:o/H/my9+0
「さっさと食べようぜー」

「うるさいぞ。全員そろって挨拶してからだ」

「へ? 挨拶って? いただきますの挨拶っすか?」
以下略



12:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:15:54.80 ID:o/H/my9+0
ふっ。くだらねえ。 ガキじゃねえんだからそれぞれが好きな時に食えばいいんだよ」

棘のある言葉に、あちこちにあったノイズが消える。全員の視線が九頭竜に集まった。

「なんだよ。俺は食うぜ」
以下略



13:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:16:26.44 ID:o/H/my9+0
「九頭竜」

「ああん?」

「お前は他のテーブルで食べてくれ」
以下略



14:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:17:06.29 ID:o/H/my9+0
この旅行でウサミに課された課題。それは全員がオールA選手を創ること。

もちろん他人の手を借りてはいけない。一時的に手伝ってもらうのも禁止。

今のところオールAをつくれた人はいない。あのゲームは実力以外に運の要素にも左右されるのだ。
以下略



15:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:17:58.00 ID:o/H/my9+0
「へっへっ。あたしもだんだんうまくなったんだぜ」

「楽しみだなあ」

終里さんはボタンを操作すると、ほらよ、とゲーム機を軽く放る。
以下略



16:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:18:30.28 ID:o/H/my9+0
「おうおう狛枝。おまえの見せろよ」

「ああそうだね。僕のはピッチャーなんだけど」

「へえl おまえ全員リリーフかよ。だっせえなあ」
以下略



17:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:18:59.11 ID:o/H/my9+0
「ふゆう。じゃあ見せますねー」

たどたどしい手つきでボタンを操作する。時々、あれ、とか、えっとなどと呟いていた。

「罪木さん、ちょっと貸して」
以下略



18:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:19:32.77 ID:o/H/my9+0
「ほら、どの選手?」

「えーっと、もっと下です。もっともっと。はいこれですね」

カーソルが合わせている選手の名は、大谷、と名付けられていた。ちょっと待って。
以下略



19:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:20:02.60 ID:o/H/my9+0
「凄いじゃないか」

「えへへ。まぐれです」

引き続き、野手能力を見た。
以下略



20:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:20:37.86 ID:o/H/my9+0
「罪木さん、メモリの無駄使いって言葉知ってるかな?」

「え?へ? なんですかそれ?」

「いいかい。ここではね? オールAをつくるのが目的なんだ。良い選手じゃなくてオールAなんだよ。
以下略



21:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:21:11.11 ID:o/H/my9+0
次は澪田さんと見せ合うことにした。

「いやっほー。じゃあ唯吹の最強のメンバーを紹介するっす」

拳をマイクに見立て、ゲームを突きだした。僕はそれを受け取り、カーソルを動かしていく。
以下略



22:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:21:37.97 ID:o/H/my9+0
「澪田さん、これ名前…」

「はい。全員、澪田唯吹っす!」

「いや、あのさ。ややこしくなるから名前は違ってるほうがいいよ?」
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23:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:22:38.68 ID:o/H/my9+0
昼。皆はまた、どこかへ出かけていく。僕と七海さんはロビーに舞い戻る。

「どうだった? 良い選手作った人いた?」

僕は罪木さんが二刀流選手をつくったことを話した。
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24:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:23:25.31 ID:o/H/my9+0
「あ、うん彼はね。もう臆病すぎて全然ダメっぽいかな」

「というと?」

「彼ね? ダイジョーブ博士一度も使ったことないんだって。失敗が怖いからって」
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25:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:23:52.72 ID:o/H/my9+0
「さっ、私たちも始めよっか。狛枝くん、次は先発投手つくってみたらどうかな?」

「難しそうだなあ」

「でもね、長いイニングを投げられる分、経験値が溜まりやすいんだよ」
以下略



26:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:24:48.00 ID:o/H/my9+0
彼女の隣に座ろうか、と思ってやめた。

僕はサクセスモードを開くが、名前を打ち込むところで手が止まった。

少し考え、江ノ島、と打ち込む。特に理由はない。ただ頭に浮かんだだけだ。
以下略



27:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:25:35.44 ID:o/H/my9+0
僕にとっては、オールAをつくることは寂しいことでもあるんだ。

七海さんはどう思っているだろう。僕と共にパワプロをする日々をどう感じているのだろうか。

この日々がいつまでも続いてほしい。そう思ってくれてると嬉しいな。
以下略



28:名無しNIPPER
2015/08/18(火) 10:26:04.03 ID:o/H/my9+0



お わ り


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