11: ◆2YxvakPABs[saga sage]
2015/08/19(水) 23:47:34.14 ID:jRTVHHoQ0
――*――*――*――
「あいつ、ライブの途中で何やってるんだ」
「今のが、紛れも無く、菜々さんの本心だと思いますよ」
「だとしたら」
「菜々さんは伝えたいんですよ。自分の本音を。このライブを通して」
「直接言えばいいだろう。こんな周りくどいことしないで」
「貴方が聞く耳持たなかったんじゃないんですか?」
「……」
「言ってましたよ。これで何も伝わらなかったのなら、ウサミン星人は今日で封印する、と」
「そうか。なら、明日からが本当の新・安部菜々の始まりだな」
「……プロデューサーって難しいです。アイドルの個性や魅力を理解し、プロデュースしなければならないんですから」
「何を今更」
「時に意見が合わないこともあるでしょう。それでも、アイドルの気持ちを組んで一緒に歩いて行く。それが、プロデューサーだと、僕は思うんです」
「甘い。そんなことをしていれば、その時期にしかない魅力をプロデュースする機会を失うぞ。そして、チャンスも掴めないまま人々の記憶から消えていく。そんなアイドルをたくさん見てきた」
「でも、自分の考え通りにアイドルを、気持ちを無視してまでコントロールする。結果を出すには間違ってないかもしれないですが、プロデューサーとして正しいとは思えないんです」
「…………結果が出せなければ、なんの意味もない」
「でも見てください。菜々さんのあの楽しそうな笑顔を」
「そうだな。はしゃぐ子供のようだ」
「観客も、最初こそ戸惑いましたが、今では、ご覧のようにとても楽しそうです。それは、菜々さんが心の底から今の自分を好きで楽しんでいて、それに引き寄せられているから。そう考えられませんか?」
「分からんな。そんなやり方は非効率的だ。その場の雰囲気と勢い任せにすぎない。観客も、会場が程よく温まっているからノれるんだ」
「……」
「だが、あんなに笑顔な安部も始めた見た」
「そうですか? 僕は、彼女のあの笑顔に惹かれて、アイドルに勧誘したんですがね?」
「そうか」
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