過去ログ - 卯月「プロデューサーさんの、本当の幸せを」
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9: ◆8g8ZKJa8Ps[saga]
2015/08/24(月) 01:41:38.87 ID:20TbIrfu0
留美
「着いたわ」

幸子
「送っていただいてありがとうございます。それじゃあ、お休みなさい」

美優
「お休み、幸子ちゃん」

留美
「お休みなさい」

 車から出ようとして、ボクはうっかりデパートで買ったインクを落としてしまいます。小さな箱は袋から転がり落ちて、座席の下へ。

留美
「あら、大丈夫?」

幸子
「平気です」

 座席の下に腕を入れました。指先に何かが当たる感触。インクの箱よりもっと小さなものです。

 出てきたのは見覚えのあるネクタイピンでした。プロデューサーさんがつけていたのを見たことがあります。

美優
「……幸子ちゃん? どうかした?」

幸子
「あ……な、なんでもありません!」

 ネクタイピンをあわててポケットに入れて、座席の下からインクを探し当てました。そのまま逃げるように車から降りて、女子寮の入り口まで走ってから、恐る恐る振り返りました。留美さんと、美優さんが、車の中でにこっと笑って軽く手を振ります。ボクもなるべく自然に見えるように笑って、手を振り返しました。

 車が道路の向こうへ走り去っていきます。いまさらですが背筋が寒くなりました。二人とも、目だけは笑っていませんでした。

 手のひらのネクタイピンをじっと見つめます。どうして、これが留美さんの車の中に落ちていたんでしょう。アイドルの前では一度もネクタイを緩めたことのないプロデューサーさんが、うっかりネクタイピンを落とすなんてことはないはずです。だとすればこれを外したのは……留美さんしかいません。でも、車の中でネクタイピンを外して何をしようとしたんでしょうか。あのプロデューサーさんが外されたネクタイピンが落ちたことにも気付かないようなことでしょうか。

幸子
「………………………………………………」



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