過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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148:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 00:59:07.01 ID:L2JYOk6hO

デニスに異変が起きていた。心臓に手を当てて上体を大きく前に倒し、うめき声を上げている。


「大丈夫ですか社長?」


俺が差し伸べた手は払いのけられた。しかしデニスは椅子に座っていることもできなくなり、床に転げ落ちて仰向けになった。

喉がかすれた笛のような音を立て、顔が土気色をしていた。


「どこよ! 私の首から下は!」

「どなたか! 救急車を、救急車をお願いします!」


俺の叫び声を聞いて、参会者の誰かが携帯を取り出した。既に席に座っている人はおらず、皆立ち上がって、盛んに首を振ったり肩をすくめたりしている。
霊媒師は憑依状態のまま、首から下はどこだと叫び続けていた。


やがて身内の者らしい男女3人が、白目をむいて泡を吹き始めた霊媒師の両脇を抱え、引きずるように会堂奥の別室に連れて行った。

俺の周囲にも数人の参会者が集まり、デニスの容体を覗き込みながら、しばらく素人の所見をあれこれ言い合っていた。
それも束の間で、救急車が呼ばれたのを知ると、納得したように病人の側を離れていく。


とにかく、主役不在となった降霊会は自然の流れで幕が下ろされた。人々は立ち去り、片付けられなかった数脚の椅子が雑然と堂の中央に残った。



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