54:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:58:01.58 ID:rVNZ4GiQo
「あのさ、向日葵……」
「……はい?」
「私、ほんとにさ……この一年間ずっと、向日葵のことしか考えてなかったよ……」
「……!」
「ずっと会いたかったよ……ずっと一緒にいたかったよ……!」
「だからずっと頑張ってさ……誰にも浮気はしなかったよ! 告白も、全部断ったよ……!」
「向日葵が……大好きだからだよ……!///」
……私は知らなかった。櫻子が頑張っていたことを。
『ごめんね、向日葵』――中学三年の冬、あの帰り道で言われたことを思い出す。櫻子は既にあそこから頑張っていた。離ればなれになった私たちのルートをまた繋ぎ合わせようと、私に見えないところで心を痛めながら、ずっとずっと頑張っていたのだ。
一年間……出会ってからというものずっと、こんなに長い期間距離が離れたことは無かった。私は櫻子のいない世界をとぼとぼ歩いていたが……櫻子は私のいない世界で、私だけを考えて人知れない努力を重ねていた。
「櫻子……」
泣きじゃくる櫻子の顔をあげさせ、呼吸のおぼつかないその愛しい唇にキスをした。
櫻子は何かが決壊したように、一段と激しく泣き出してしまった。その頭を胸に包んで受けいれ、ずっと一人で頑張っていた人を抱きしめてあげた。
ありがとう、櫻子。
よく頑張りましたわね。
よく、戻ろうとしてくれましたわね。
私たちの距離は、離れてもずっと変わらない。
むしろ、離れれば離れるほどに……近くなっていく。
「こ、んしゅうの、テスト……」
「ん……」
「がんばる、から……ぜったい、がんばるから……!」
「だから……待っててね、ひまわり……!///」
……ええ、待ってますわ。
ずっとずっと、待っていますわ。
最後にもう一度、深く長いキスをした。
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