過去ログ - モバP「花物語」
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27: ◆Freege5emM[saga]
2015/09/23(水) 17:05:36.95 ID:5OkfeDTTo

●【パンジー】



「ふっふー! こ・こ・が♪ あたしと夕美ちゃんの愛の巣かー♪」

「あはは、愛の巣って! まぁ、迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね。志希ちゃん」



私と志希ちゃんは、アイドルとして駆け出しの頃から、一年ぐらい寮で相部屋だったんだ。
寮に入った事情は真逆だったけどね。

私は、通学とかいろいろと寮が便利だったから申し込んで入れてもらったんだけど、
志希ちゃんは、……失踪癖を危ぶまれて、プロデューサーさんに強制入寮させられてた。



失踪癖……うん、そうだよ。
志希ちゃん、よく仕事からエスケープしてさ。

あの子は天才肌で、私やほかの子が手こずる振付や歌を、一目見ただけでしっかりキメちゃう。

だけど――あるいは、そのせいか――とにかく集中力が全然続かなくて、
目を離すと居眠りしちゃったり、ひどい時には、どこかに消えちゃってるんだよね。







そんな志希ちゃんが、晩夏の頃にプランターと土を買ってきて、
ベランダで私が育ててたコスモスの隣に並べていた。

「不束者ですが、よろしく! なんてね」

何を植えるつもりなのか聞くと、志希ちゃんはパンジーの種を見せてくれた。
それを見た私は、ちょっと……いや、かなり不安になった。



私、趣味でガーデニングやってるから、お花について多少の覚えはあるんだ。

パンジー。お花の中では、虫や病気に強い子。
秋から春まで花を長く楽しめて、初心者にも比較的育てやすい。
まぁ、初心者なら種じゃなく苗で植えるのを勧める所なんだけど。

私は、志希ちゃんにまともにお花の世話ができるかな……なんて、思ってた。
失礼ながら……志希ちゃんには一番向いてなさそうなことだし。

でも、志希ちゃんは私のお花の横にプランター置いたから、勝手にどうぞ、とは言えない。
虫とかの駆除がおろそかにされると、あたしの世話してる子たちにも影響があるからね。



「ここでミョーな科学実験したら、夕美ちゃんや、あの子たちに迷惑がかかるしー。
 代わりと言っちゃなんだけど、この子に付き合ってもらうことにしたんだ♪」

正直不安だったけど……私は、冬になるまで様子を見ることにした。



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