過去ログ - 真姫「かたわれアイスキャンディー」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/09(水) 16:33:02.38 ID:SLBdxrKw0


 音の速度で空を駆けながら、捨てた夢まで輝き出す頃、
 それなのに、
 どこかで積んだ小石の崩れる音が聞こえた。

 重力を返却された私の身体は
 みるみる地上に引きずり込まれて、
 手をつないだままのにこちゃんの羽根まで折れてしまいそうで、
 雲を破った風圧でゆがんだ顔が
 泣きじゃくった後みたいで思わず自分から手を離してしまえば、

 叩きつけられた場所は現実だった。

 シーツはいやな汗に湿っていて、
 充電し終えたケータイのランプも消えていて、
 午前三時四十七分、たまらず名前を呼んだ声は
 ベッドの向こうの闇に溶けるだけだった。

 あんな時間に打ったメール、
 また送れないまま下書きフォルダに入れてしまう。
 画面を閉じると充電器の赤いランプが点った。
 暗い部屋でその光は目に痛くて、自分から遠ざけて布団をかぶりなおす。

 それでも赤い光の残像は
 墜落直前に見たあの子の瞳と何度もシンクロしてみせる。




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