過去ログ - 櫻子「みんなで作る光のパズル」/向日葵「葉桜の季節」
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/09/13(日) 19:37:58.19 ID:28Y7hCbSo
【櫻子「みんなで作る光のパズル」】



「そっか……おめでとう。よかったね……よく頑張ったね」


三月下旬の、まだ少し寒さが残っているとある夜。撫子はベランダの窓を開けて柵に肘をつき、夜空を見ながら電話の向こうの女の子を何度も褒め称え、労いの言葉をかけていた。

話している相手は撫子の妹さんの幼馴染であり……もちろん撫子とも親交の深い、本当の妹同然の女の子である、向日葵ちゃん。

向日葵ちゃんは今日が受験した高校の合格発表日だったらしい。ならば今日という日はきっと色んな人に合格した旨を伝えるので忙しかっただろう。だからこそゆっくり話のできるこの夜を選んで撫子にかけてきているのかもしれない。


「え、不安……? 心配ないってひま子なら。面倒見のいい学校だからさ、そんなに張りつめなくても普通にコツコツやってれば大丈夫だよ」


撫子は半分だけ振り返って私の方を見た。「だよね?」とでも言いたげな目で訴えられた私は、同じようにして視線だけで「そうだね」と返す。


「うん……うん。とにかくおめでとう。私も何か合格祝いしなきゃね……いいよいいよ遠慮しなくても。ゴールデンウィークあたりはそっちに帰れるかもしれないから、その時にでもさ……うん」


賞賛の言葉を何度もはさみながら、撫子はゆっくりと電話を切った。室内に戻り扉を閉め、私の目の前に座る。


「受かってたんだ」

「うん。まあひま子なら絶対大丈夫だと思ってたけど……」


撫子は安堵と喜びを織り交ぜたように微笑んでいたが、その目にはどこか心残りなことがあると思わずにはいられなかった。


「……どうしたの?」

「ん、いや……これでひま子と櫻子は、本当に違う道を歩むことになっちゃったんだなって思って……」

「…………」


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