過去ログ - 櫻子「みんなで作る光のパズル」/向日葵「葉桜の季節」
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23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/13(日) 19:54:26.35 ID:28Y7hCbSo



あれは三月の……いつだったか。


早めに学校から帰ってこれた私は夕飯の準備をしていた。主菜の準備と並行して副菜、汁物の調理……少し忙しくしているところに、玄関が開く音が聞こえた。

包丁で具材を刻みながら、振り向かずに私は「楓? おかえりなさい」と言った。次の瞬間腰元に突っ込んできた大きな塊に私は悲鳴をあげる。

姿勢を低くしながらわざと驚かせるように抱き着いてきたのは櫻子だった。「こら、危ないじゃないの!」とは怒らなかった。怒れなかった。そんなことよりも先に大事なことがあった。


慌てて包丁を置いて鍋の火を止め、櫻子が手にしっかり持っていた紙を見る。


ちらほら目に付いた「100」という点数はもはやどうでもよくて、私が見たかったのは「1」の文字。


学内順位の欄にある、「1」という数字。


「さ、櫻子……っ!!///」

「やったよ向日葵、私やったんだよぉ……!!」


それは櫻子が私の元に帰ってくるためのパスポートだった。

努力して努力してやっと掴み取った、燦然と輝く一位の判が押されたパスポート。


櫻子なら大丈夫だと信じていた。そしてその時点なら櫻子も相当な自信を持っていただろう。

でもついに掴み取ったそれが形になっていることが嬉しくて、この一年の壮絶な努力を見事実らせたこの子が愛しすぎて、私は思いっきり櫻子を抱きしめた。

私に押された櫻子がしりもちをついてもなお強く抱きしめ続けた。櫻子も涙目で震えながら嬉しさをかみしめていた。楓が学校から帰ってくるまで、ずっとずっと抱き合っていた。



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