過去ログ - 櫻子「みんなで作る光のパズル」/向日葵「葉桜の季節」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/13(日) 19:55:33.70 ID:28Y7hCbSo
春休みは毎日のように……いや、本当に毎日櫻子と一緒にいた。一緒に新しい学校にあいさつに行き、一緒に新生活の準備をした。
撫子さんの制服を引っ張り出して試着して……足りないものも全部一緒に買い足した。何度目かのデートにも行ったし、みんなで一緒にお花見だってした。朝起きてから夜寝るまで、ほとんど櫻子と一緒にいた。
今思えば、この一年の間に話したいと募った思い出話などは全部あの春休みに出し尽くしたかもしれない。
櫻子の秘密だけでなく、花子ちゃんの気持ちや撫子さんのエピソード……一年間ずっと私に秘密を守り抜いた楓の本心も全部聞いた。あの時だけでも、同じ話を何度も何度も繰り返し聞かされた。それでも私たちが話に飽きることなんて一向になかった。
そして今から先週ほど、櫻子が転校生としてこのクラスにやってきた。私だけは知っていたその事実……知っていたのに、改めて「ただいま」と言ってきてくれた櫻子に涙を抑えきれなかった私を、私たちを見たクラスのみんなは衝撃を受けただろう。その噂はあっという間に学校中に行きわたって、そしてこの春という始まりの季節にすぐに溶けていった。
つい一週間ほど前のことなのに、情景的に過ぎ去っていったのが原因なのか、それともあれからの一週間が濃すぎるのか……ずいぶんと昔のことのように思い返される。
もう何度も振り返ったそのシーンたちに想いを馳せていると、ちょんちょんと背中をつつかれた。
先生に気にされないよう少しだけ身体をひねって振り返ると、いたずらっぽく微笑む櫻子が小さな紙を渡してきた。
折りたたまれたそれを両手でこっそり開いていく……どうせ真面目な内容は書いてないのでしょうと想像してたのに、案の定の文字が出てきた私は思わず笑顔を隠し切れない。
『今日の夕飯なに?』だなんて……そんなの今聞くことじゃなさすぎるでしょう!
「それじゃあここを……そうね、大室さん読んでみてくれる?」
「わひゃいっ!?///」
「今のとこから次の形式段落まで。はいどうぞ」
「はい! えっと……こほん」
ほーら、こんなことしてるからばちが当たるんですわよと私は心の中で笑う。しかし誰かに頼らなくとも自分一人で読み上げる範囲を覚えているあたりは、さすがに昔と違った。
変わってるようで変わってない、私と櫻子。
変わってる部分も変わってない部分も何もかも嬉しくて……昔と変わったのはどこか、変わってないのはどこかを探しあうのも楽しくて、全部愛しさとなって募っていく。
櫻子は指定された範囲を綺麗に読み上げた。ほっと一息ついて席に着くその机に、ぽいっと紙を放ってあげる。
ああ、前の席じゃなくて隣の席だったら……この子の嬉しそうな表情が見れたのに。
でも恥ずかしがってしまう私の赤面を隠せるから、ここはここでいいのかもしれない。
『ハンバーグ。』とだけ書かれた紙だけど……その辺に落っことしちゃダメですからね? 誰かに見られたら恥ずかしすぎますから。
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