過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:06:15.74 ID:t+SnPtR2o
私は鞄を取って立ち上がると、挨拶もそこそこに教室を出た。
心配とは裏腹に、何日経っても私に対する噂が広まる様子はなかった。
一橋くんは目立つタイプではないけれど、よく男友達と談笑しているのを見かける。
あの年頃の男子というのは、見たこと聞いたことをやたらに誇張して(特に女子が絡むと)話すものだと思っていただけに、彼の口の堅さは意外だった。
以下略
8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:07:22.92 ID:t+SnPtR2o
のろのろと続くホームルームには教室中の誰もが、教師でさえうんざりしていた。
一橋くんはこっくりこっくりと船を漕いでいる。私の席からもはっきり見えた。つい、くすりと笑ってしまう。
ようやくホームルームが終わって、みんなガタガタと席を立つ。
その音で一橋くんは目を覚まして、一足で遅れた形で荷物をまとめ、席を立った。私は、彼を追った
人の流れて行く廊下の途中で彼と肩を並べると、私は声をかけた。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:08:51.35 ID:t+SnPtR2o
一つ、二つと、会話を交しているうちに、昇降口が見えてきた。
お互い、下駄箱から靴を取って、履き替える。こういうときに限って靴紐が変に絡まるものだ。
もたもたと履き替えている傍で、一橋くんは足を止めて待っていてくれた。
私はなにも言っていないけれど、一緒に帰ってくれるんだろうな。
そう思うと身体の内側がなんだかピリピリくすぐったいし、指先が一層不器用になる。
以下略
10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:10:52.11 ID:t+SnPtR2o
人の流れを泳ぎながら、私は次に言うべき言葉を探していた。
こうして、ちゃんと話すのは一年ぶりくらいだね。
そう言いかけて、やめる。私のほうだけだ、そんなこと気にしてるの。
もっと無難な話題、無難な話題を。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:11:17.34 ID:t+SnPtR2o
一橋くんのほうを振り返ると、小さな陰が弾丸のごとく彼にタックルを決めていた。
しかしちゃんと加減が効いていたらしい、一橋くんは少しよろけながらも、しっかりと女の子を抱きとめていた。
「隠れて見えなかったよー!」
以下略
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:12:05.76 ID:t+SnPtR2o
「恋人?」
最悪の想定を尋ねてみる。二人は顔を見合わせて、きょとんとした。
「一緒に帰ってたの?」
以下略
13
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:13:46.42 ID:t+SnPtR2o
「そう、さっき、偶然ね」
私はそう言って、くいっと口角を上げてみるが、きっと目までは笑ってないんだろう。
奈那と呼ばれた少女は、それですべて片付いたと言わんばかりに一橋くんを見上げた。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:17:06.68 ID:t+SnPtR2o
――――
私、待ってるから。
待つから。
以下略
15
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:20:10.45 ID:t+SnPtR2o
――――
爪を噛む癖が、また出てきた。ナナとかいう少女のせいだ。
あれからたびたび、一橋くんの傍をちょこまかしているのを見かける。
妹かなにかと思いたかったけれど、彼女が一橋くんに向けている行為は家族へのそれとは微妙に違うようだった。
16
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/09/19(土) 22:20:50.36 ID:t+SnPtR2o
「一橋くん、ちょっといい?」
放課のチャイムと同時に席を立って、声をかけた。
さっきの授業中に何度も言葉を考えていただけあって、口はごくスムーズに稼働した。
以下略
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