過去ログ - 妹「お願いだから死なないで」
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11:名無しNIPPER[saga]
2015/09/24(木) 16:43:08.96 ID:VB0G/KlUo

「気ままだな、羨ましいとはおもわねえけど」

 意味も無い呟きを唱えながら
廊下を渡り、購買前にでる階下への階段とは別の
登り階段を音も立てず歩く、
教室から漏れる生徒達の声は聞こえるものの、
やはり誰とも遭遇しない。
僕みたいな天邪鬼や、

「んだぁ? ……あぁお前かよ」
「気持ちよさそうだね、後追」

 彼のような気まぐれ者が居ない限りは。

 後追 咲良。
僕の友人の一人、男子生徒。
同級生ではあるがクラスメートではなく、
正直に言ってしまえば僕は彼がどこのクラスに所属しているのか知らない。
ただ以前一度見た生徒手帳の色で同輩であるとだけわかっているだけで、
僕はこいつとこの屋上以外の場所で顔を合わせた事がない。

「なんか用か?」
「九日十日。……別にそういう訳じゃないよ、単に寝転がりたくなっただけだ」
「ふぅん? ま、確かに今日は気持ちが良いぜ。
 暖けぇし、午前は運動系の授業もねぇから静かだしよ」
「そいつは良い事を聞いた、昼までここに居座ろう」
「勝手にしろ。俺の場所じゃねーし」
「だね」

 雨風で汚れた屋上のコンクリート、
そこに大の字になる後追の横に僕は腰を落ち着けた。
コンクリートは日光でほのかに温まり、
少し前まで他人が座っていた椅子の感触を思い起こさせてくれる。

 次いでごろんと制服が汚れるのも構わず
背中をべたりとつけて寝そべる。
当然上空に浮かんでいる太陽が思い切り視界に入り
目が眩み、閉じた瞼の裏に残像として残る。

「空ってさぁ、広いよな……」

 瞼越しに日光が眼球を余すとこなく照らし、
血液の赤で視界が染まるのを感じながら
しばしの間時折流れる風を受け止めていると
不意に隣で転がっていた後追が口を開く。

「そりゃ、そうだね」
「なんで、広いんだろうな」
「地球がでかいから、その周りはもっとでかいんだよ」
「ふぅん。地球がでかい、ねぇ」


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